2005年日语能力考试一级真题:阅读&语法部分
本当にそうでしょうか。実は二つのグラフはまったく同じ数値を表にしたものです。数値は左から10、11、12、13と推移(すいい)(注2)しています。右のグラフは縦軸の目盛りが9から始まっています。一方、左のグラフは、目盛りは0から始まっています。もう一度二つのグラフで確認して下さい。
同じ数値を表すグラフでも正反対の印象を与える場合があります。どうしてこうしたことが起こるのでしょう。それは人が(②)からです。この場合には棒グラフですから棒の長さに注目しています。棒の長さを比較すると右のグラフは棒の長さの差異が激しい。それに比べて左のグラフは長さの差異がそれほど大きくない。この違いが印象の違いになります。
このことからわかるように③グラフは数値を忠実に翻訳したものではありません。数値は客観的な事実ですが、グラフは客観的な事実を表現しないのです。数値をビジュアル化する過程で作り手の主張が反映されます。客観的な事実のみを示すならば表で表現すべきです。グラフでは作り手に主張がなければ伝えたいものと正反対の印象を与えてしまう可能性さえあります。
主張を確実に伝えるために、初めに自分が何を伝えたいのかを明確にします。そし
てその後にそれに合わせた形でグラフを作成します。最初にメッセージありき(注3)で、グラフはその裏付(うらづ)け(注4)の道具なのです。
(飯田英明『「図解表現」入門』日本経済新聞社による)
(注1) ビジュアル:目に見えること
(注2) 推移(すいい):移り変わること
(注3) メッセージありき:メッセージがあった
(注4) 裏付(うらづ)け:事実であることを証明する証拠
問1 ①「二つのグラフ」はどのようなことを示すために出されているか。
1 人はグラフの形ではなく、数字から情報を得ていること
2 同じ内容を表すものでもグラフの作り方で印象が変わること
3 グラフの目盛りは0から始めなければ正確な情報は伝わらないこと
4 伸びが著しいか鈍いかは、人間の印象によって変わるので意味がないこと
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