欲望が無限にあるのは、実は大人だって同じです。大人も買いたいものを何でも買うとしたらどうでしょうか。でも、①そんなことはしようと思ってもできっこない話なのです。なぜかと言うと、地球上に存在する全工場をフル稼働しても、無限にたくさんの物をつくることはできません。②人間の技術はまだそこまで進んでいません。
　　
労働者の数だって限られています。機械設備も限られています。農産物をつくるにも、農地には限りがあります。皆が大きな家に住みたくても住めないのは、土地が足りないと言うだけでなく、そんなことをすればたちまち、地球上の森林から木が切り出されて、あっという間に地球は丸裸になってしまうからです。

つまり、最も大事なことは、私達の欲望は無限だけれど、工場や機械設備、労働力、森林、農地、住宅地、石油など、商品を生産するための経済資源は有限だということです。経済資源が有限だから、私達の欲望のうち、つまり欲しいモノのうち、一部分しか手に入らないのです。別の言い方をすると、経済資源が有限なので生産されるものも有限と言うことになります。だから、私達の手に入る「所得」も有限。すなわち、商品を買うための予算も有限と言うことになります。

③このことを説明するのに、経済学では「稀少性」と言う言葉を使います。「稀少性」とは、人間の欲望をすべて満足させるだけの経済資源は地球上には存在しないと言う厳しい現実を示す実に簡潔な言葉です。

問1．①「そんなことはしようと思ってもできっこない話」とあるが、「そんなこと」とは何を示しているか

A、すべての工場を全部働かして欲しいものを生産すること
B、大人でも欲しいものが何でも買えるということ
C、大人は欲しいものを自由に買うお金をもらうこと
D、無限にたくさんの欲しいものをつくること

問2．②「人間の技術はまだそこまで進んではいません」とあるが、「そこまで」とは何を指しているか。

A、人間の欲望をおさえること
B、ものを限りなく作り出すこと
C、ものを多く安く作り出すこと
D、世界中の工場を一斉に動かすこと

問3．③「このこと」とは何か。

A、経済資源が有限られているから、物を作り出す工場や農地も不足しているということ
B、経済資源が有限られているから、欲しいものをすべて手に入れることはできないということ
C、人間の欲望は限られているから、欲しいものをすべて手に入れようとは思わないということ
D、人間の欲望は限られているから、ものを作り出す工場や農地も無限に必要ではないということ

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