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「~てみる」の意味とそれの実現する条件

时间:2008-03-31 22:58:08  来源:本站原创  作者:echo
「~てみる」の意味
「~てみる」の意味には,大きく分けて,次の二つがある。
(Ⅰ)あることを知るためにある動作をすること。
(Ⅱ)ある動作をした結果の状態を知るためにその動作をすること。
一般に「~てみる」は「ためしに~する」ということをあらわす。ここでは,それをさらにくわしく調べるわけである。
勝平
「お前さんだって私の話を聞いてみる 気があったから,迎えの車に乗ったんだろう」傷 68
この例では,話の内容を知るために「聞く」ことをする,という意味である。
それ
から,瓶の栓を抜き,鼻にあてて嗅いでみる。砂の女 31
この例では,瓶の中身は何かを知るために「嗅ぐ」ことをする,という意味である。共に(Ⅰ)の例である。
このように,あることを知るためにする動作として,知覚器官を用いることが最も普通である。その他に,知覚器官を働かせるための条件をつくる,ということがある。知覚器官を用いることをあらわす動詞には,「見る,聞く,嗅ぐ,味わう,さわる」とそれらの類義語がある。知覚器官を働かせるための条件をつくるとは,具体的には,じゃまになっているものをとりのぞいたり(「開ける,めくる」など),振向いたり,近づいたりすることである。
次に(Ⅱ)の場合を見てみよう。
勝平
「池内という男に俺が会ってみよう」傷 45
この例では,勝平が,池内という男に会った結果の状態を知りたくて,池内に会う,という意味である。
川島
「早速話をしてみるが,それにしても五隻は無理だ。」キスカ 35
この例では,話をした結果の状態,つまり司令部が五隻の軍艦をふりむけてくれる用意があるかどうか,ということを知るために話をするという意味である。共に(Ⅱ)の例である。
(Ⅰ)では意志動詞しかあらわれないが,(Ⅱ)では無意志動詞でも可である。7)
以上主な二つの意味の他に,
(Ⅲ)ある情報をもたらし,または結果を生みだすことになる動作をあらわす。
という意味がある。この場合は,「~てみると,~てみたら」という形でつかわれる。例えば,
朝は
やく,にわにでてみたら,小さいめが,でていました。二上 41
というように。もっとも,この形になったからといって,(Ⅰ)(Ⅱ)の意味をあらわさない,というのではない。この間の詳細については,追ってのべることにする。
1.あることを知るためにする動作をあらわす「~てみる」
この意味を実現する条件として,動詞の語い的性格が大きく働いている。そこで,そこに使われた動詞を語い的に分類してみようと思う。
1.1 知覚活動をあらわす動詞
先にのべたように,あることを知るためにする動作とは,知覚器官を働かせることである。したがって,知覚活動をあらわす動詞「見る,聞く,嗅ぐ,味わう,さわる」及びそれらの類義語から,この意味がつくられる。
見る――
和子「見てごらん8)なさい,この教科書,いたずら言きばかり」非 77
 
のぞく――
戸口の中をのぞいてみる。砂の女 54
 
見なおす――
石丸「ところで,この靴をもう一度見なおしてみたまえ」天 1
聞く――
勝平「お前さんだって私の話を聞いてみる気があったから,迎えの車に乗ったんだろう」傷 68
嗅ぐ――
それから,瓶の栓を抜き,鼻にあてて嗅いでみる。砂の女 31
味わう
 
 
なめる――
においを嗅いで,なめてみる。砂の女 40
さわる――
こわごわ手をのばし,そっと指先でさわってみる。砂の女 84
 
ふれる――
扉に手を触れて見る。白と黒 52
1.2 知覚器官を働かせるための条件づくりをする動詞
知覚・認知できる条件をつくりだすために,じゃまになっているものをとりのぞくことがある。見るためにじゃまになっているものをとりのぞくことをあらわす動詞とは「開ける,めくる,掘り返す,はがす」などである。聞くためにじゃまになっているものをとりのぞくことをあらわす動詞,嗅ぐためにじゃまになっているものをとりのぞくことをあらわす動詞,……と,前にのべた五感のそれぞれについて,じゃまになっているものをとりのぞくことを考えることができるのだが,実例では,「見るために…」つまり上にあげた四つの動詞しかなかった。
開ける――
あわただしく,新聞の包みを開けてみる。砂の女 31
   ――
あがりがまちに,腰をおろし,リュックを開けてみる。砂の女 29
めくる――
腰をおろして,ふと,奥の部屋との間をへだてているムシロをめくってみる。砂の女 18
   ――
男,片膝をつき,注意深くめくってみる。砂の女 7
掘り返す――
掘り返してみたら,案外,金目のものが出てくるかも分からんぞ…」砂の女 67
はがす――
女「埋った家の,天井板をはがしてみたら,中からキュウリでも出来そうな,よく肥えた土地が出て来たって言いますから…」砂の女 16
知覚・認知しやすい条件をつくりだすことをあらわす動詞として,「電話する,振向く,近づく」がある。
電話する――
平井「今朝,出て来ないから,うちへ電話してみたら,彼の細君が『会社の用で出張したんじゃないんですか?』だってさ」女 97
振向く――
おびえた表情で,戸口のほうを振向いてみる。砂の女 35
近づく――
秋彦,近づいてみる。傷 125
1.3 情報収拾活動をあらわす動詞
次の例では,動詞自身があることを知るための活動をあらわしている。「あることを知るための活動」といえば,以上のべてきた動詞もそうであるが,次にのべるのは,そういった知覚・認知活動がふくざつに組み合わさった一つの活動を意味する動詞である。
調べる――
番頭「調べて見ますから暫くお待ち下さい」白と黒 163
   ――
勝平「竜太郎,お前はひとつ極秘でこれを調べてみてくれ,」傷 45
   ――
竹雄「ぼくはきのう,一日がかりで有馬の事業を調べてみた。」傷 124
さぐる――
村の衆の手をかりながら,男,足で梯子をさぐってみる。砂の女 13
調査する――
勝平「どういうたちの人間か,よく調査してみるんだね。」傷 139
点検する――
ちょっと考え,仕掛け全体を点検してみることにする。砂の女 75
研究する――
勝平「私の会社では七年も前にこれと同じ計画を立ていろいろ研究してみたんですが……」傷 46
計算する――
勝平「損害だとおっしゃるが,利益のほうも同時に計算してみましたか,」傷 28
    ――
東「今津君,最初は大丈夫だと思ったが,一票々々計算してみると予想外な激戦だよ」白い巨塔 84
分析する――
戸倉「未使用のものを分析してみて,九○パーセント以上のものであることがわかりました。」天 79

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