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【双语阅读】【白夜行】第一回

时间:2011-08-30 16:57:44  来源:  作者:

读完了感动了大家的《恋空》今天起我们来一起读东野圭吾的经典小说 白夜行

 

《白夜行》将无望却坚守的凄凉爱情和执著而缜密的冷静推理完美结合,被众多“东饭”视作东野圭吾作品中的无冕之王,被称为东野笔下“最绝望的念想、最悲恸的守望”,出版之后引起巨大轰动,使东野圭吾成为天王级作家。2006年,小说被改编成同名电视连续剧,一举囊括第48届日剧学院奖四项大奖。“只希望能手牵手在太阳下散步”,这句象征《白夜行》故事内核的绝望念想,有如一个美丽的幌子,随着无数凌乱、压抑、悲凉的事件片段如纪录片一样一一还原,最后一丝温情也被完全抛弃,万千读者在一曲救赎罪恶的爱情之中悲切动容……

 

 

近鉄|布施《ふせ》駅を出て、線路脇を西に向かって歩きだした。十月だというのにひどく蒸し暑い。そのくせ地面は乾いていて、トラックが勢いよく通り過ぎると、その拍子に砂埃《すなぼこり》が目に入りそうになった。顔をしかめ目元をこすった。

 笹垣《ささがき》潤三《じゅんぞう》の足取りは、決して軽いとはいえなかった。本来ならば今日は非番のはずだった。久しぶりに、のんびり読書でもしようと思っていた。今日のために、松本清張の新作を読まないでいたのだ。

 右側に公園が見えてきた。三角ベースの野球なら、同時に二つの試合ができそうな広さだ。ジャングルジム、ブランコ、滑り台といった定番の遊戯設備もある。このあたりの公園の中では一番大きい。真澄《ますみ》公園というのが正式名称である。

 その公園の向こうに七階建てのビルが建っている。一見したところでは、何の変哲もない建物だ。だがその中が殆《ほとん》どがらんどうの状態であることを笹垣は知っている。府警本部に配属される前まで、彼はこの付近を管轄する西布施警察署にいた。

 ビルの前には早くも野次馬が群がっていた。彼等に囲まれるように、パトカーが数台止まっているのが見えた。

 笹垣は真っ直ぐビルには向かわず、公園の手前の道を右に曲がった。角から五軒目に、いか焼き、と書いた看板を出した店がある。間口が一間ほどの小さな店だ。通りに面するようにいか焼きの台が置かれ、その向こうで五十歳前後と思われる太った女が新聞を読んでいた。店の奥では駄菓子を売っているようだが、子供の姿はない。

「おばちゃん、一枚焼いて」笹垣は声をかけた。

 中年女はあわてて新聞を閉じた。「ああ、はいはい」

 女は立ち上がり、椅子に新聞を置いた。笹垣はピースをくわえ、マッチで火をつけてから、その新聞を眺めた。『厚生省、市場の魚介類水銀濃度検査の結果を発表』という見出しが見えた。横に小さく、『魚を大量に食べても許容量下回る』とある。

 三月に熊本水俣病の判決がいい渡され、新潟水俣病、四日市大気汚染、イタイイタイ病と合わせた四大公害裁判が結審した。いずれも原告患者側の勝訴だった。これらにより公害に対する国民の関心は強くなった。特に、水銀やPCBによって、日頃《ひごろ》食べる魚が汚染されているのではないかという不安が、全国的に広がっている。

 烏賊《いか》は大丈夫かいな、と笹垣は新聞を見ながら思った。

 いか焼き用の鉄板は、二枚の鉄板を蝶番《ちょうつがい》で繋《つな》いだような格好をしている。その間に小麦粉と卵をからめた烏賊をプレスするように挟み、熱するのである。烏賊の焼ける匂《にお》いが食欲を刺激した。

 十分に熱を加えた後、彼女は鉄板を開いた。丸く平たいいか焼きが片方の鉄板にはりついている。そこに薄くソースを塗り、半分に折った。それを茶色の紙で包み、はい、と笹垣のほうに差し出した。

 いか焼き四十円、と書かれた札を見て、笹垣は金を出した。おおきに、と女は愛想よくいった。そして新聞を手にすると、また椅子に座った。

 笹垣が店を離れかけた時、一人の中年女性が店の前で足を止め、こんにちは、といか焼き屋の女に挨拶した。近所の主婦らしい。買い物|籠《かご》を提げていた。

「あそこ何か、えらい騒ぎになってるねえ。何かあったんやろか」主婦らしき女性はビルのほうを指した。

「あったみたいですよ。さっきからパトカーがたくさん来てますわ。子供が怪我でもしたんやないですか」いか焼き屋の女はいった。

「子供?」笹垣は振り返った。「なんでビルに子供がおるんですか」

「あのビル、子供の遊び場になってるんです。そのうちにきっと怪我するわと思てたんですけど、とうとう本当に怪我人が出たんと違いますか」

「へえ、あんな建物の中で何をして遊ぶんやろ」

「さあねえ、知りませんわ。とにかく、あれは早よ何とかせなあかんと思てましてん。危ないですもんねえ」

 笹垣はいか焼きを食べ終えると、ビルに向かって歩きだした。いか焼き屋の女主人が後ろから見ていたら、暇な中年男が野次馬根性を出したように見えることだろう。

 ビルの前では制服を着た警官たちがロープを張って野次馬たちを遮《さえぎ》っていた。そのロープを笹垣はくぐった。警官の一人が威嚇《いかく》するような目を向けてきたので、彼は自分の胸のあたりを指した。ここに手帳が入っている、という意味だった。それを解したらしく、制服警官は目礼した。

 ビルには一応玄関らしきものがあった。本来の設計では、大きなガラスドアが付けられるはずだったのかもしれない。しかし現況は、ベニヤ板や角材などで塞《ふさ》がれているだけだった。そのベニヤ板の一部が外され、中に入れるようになっていた。

 見張りに立っている警官に挨拶して、笹垣はビルの中に足を踏み入れた。思った通り、中は暗かった。カビと埃の臭いが混ざった空気が漂っている。目が慣れるまで、彼はそのまま立っていた。どこからか話し声が聞こえる。

 しばらくすると、周囲がぼんやりと見えてきた。自分の立っている場所がエレベータホールになるべき場所だったということを笹垣は知った。右側にエレベータの扉が二つ並んでいたからだ。その前には建築資材や電気部品などが積まれている。

 正面は壁だ。だが出入口用の四角い穴が開いている。穴の向こうは暗くてよく見えないが、駐車場になる予定だったのかもしれない。

 左側には部屋があった。いかにもその場しのぎという感じの、合板製の粗末なドアがついている。チョークで『立入禁止』と乱暴に書きなぐってあった。おそらく工事関係者が書いたものだろう。

 そのドアが開き、二人の男が出てきた。どちらも笹垣がよく知っている人間だ。同じ班にいる刑事たちだった。彼等のほうも、笹垣を見て足を止めた。

「おう、御苦労さん。せっかくの休みやのに、ついとらんな」一方が声をかけてきた。彼は笹垣よりも二つ年上だった。もう一人の若い刑事は捜査一課に配属されてから、まだ一年にならない。

「朝からいやな予感がしとりましたんや。こんな勘は当たらんでもええのに」そういってから笹垣は声を落とした。「おっさんの機嫌はどうです?」

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