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魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一 第二章2.1

时间:2011-09-05 13:20:09  来源:可可日语  作者:ookami

      サー・ジョンの十字架
 十六世紀、エリザベス女王の宮廷に、アシェンバート伯爵(はくしゃく)という人物がいた。青騎士|卿(きょう)の子孫だという彼は、世界中を旅してきた冒険家でもあり、自分が見聞きした不思議な逸話(いつわ)を、宮廷に集まる人々に語った。
 幾多(いくた)の話のうち、彼の先祖である青騎士卿の物語を、ひとりの聞き手がまとめた、という形で語られているものが、F・ブラウン著、『青騎士伯爵・妖精国からの旅人』という本だ。これは、リディアもよく知っていた。
 母が亡くなってから、父が読み聞かせてくれたたくさんの物語、その中のひとつだ。
 これは本当の話だと、父が言っていたのは覚えている。もちろん、妖精の存在を知っているリディアは、少しも疑わなかった。
 国をつくる妖精族には、妖精の王がいるものだが、中には人間を王と認めている種族もあるのかと、感心しただけだ。
 実在したという青騎士卿をモデルにした創作、おそらくそのへんがこの本についての定説で、妖精に関しては創作だと、当然思われていることだろう。
 けれどリディアは、この不思議な物語のどの部分を取っても、あり得ないことではないと思っている。
 エドガーの言っていた宝剣に関することも、この物語に記されている。
 ラストの部分、青騎士卿がエドワード一世のもとを去るシーンがある。妖精国へ帰ると言うのだ。宮廷には戻ってこないのかと問う王に、
「もちろん王がお呼びになるなら、いつなりと参じます。わたくしはいつまでも王の臣下。けれども妖精国は、こちらとは時間の流れが違います。向こうでの一年が、こちらでの百年にあたる場合もあり、また向こうで数十年を過ごし年老いてもこちらでは数日しか経っていないということもございます。ですから陛下(へいか)、いつ何時(なんどき)わたくしが、またはわたくしの子孫が、陛下のもとに戻ってまいりましても、どうかそれとわかっていただけますように」
 すると王は、青騎士卿に自分の剣を与えた。エドワード一世の名において、いつ何時であろうと、イングランド国王は青騎士伯爵を認め宮廷に迎え入れると。
 それから何度か、青騎士卿の後継者は、英国宮廷に現れたらしい。
 そのうちのひとりが、青騎士卿の物語を書いたブラウン氏と会ったのだろう。
 そして今は、エドガーがその末裔(まつえい)だという。
 彼が手に入れようとしているのは、伯爵の身分を明かす、エドワード一世の宝剣。それを見つけるのが、リディアに依頼されたフェアリードクターとしての仕事。


「まあいいんでないの? 協力してやれば?」
 ニコは今朝から、めずらしく機嫌がよかった。というのも、パンケーキとベーコンの朝食が、きちんと出されたからだ。
「おまえね、昨日は胡散臭(うさんくさ)いって言ってたじゃないの」
「だってそうしなきゃ、文無(もんな)しのまま見知らぬ土地に放り出されるんだろ」
 あの脅(おど)しは、本気なのだろうか。
「だけど協力しても、宝剣を見つけられるとは限らないわ」
「前金で受け取っておけばいいさ。せいぜいふっかけてやれよ。あ、金さえもらえばトンズラするって手もあるな」
 首にナプキンをかけ、生意気にもナイフとフォークをあやつって、ベーコンを口に入れる猫は、気楽にいいかげんなことを言う。
 お金を請求するなら、責任を持って遂行するのが仕事というものだ。しかしリディアが迷っているのは、エドガーが本物の、宝剣の継承者(けいしょうしゃ)かどうかわからないからだ。
 とはいえニコの言うように、お金をもらって逃亡でもしない限り、協力を拒否するのは難しそうだ。
「父さまに手紙を書かなきゃ」
 リディアは、窓辺の文机(デスク)から、そなえつけの便せんと封筒(ふうとう)を取り出した。
『親愛なるお父さま、ロンドンに着くのが少し遅れそうです。アシェンバート伯爵という方に、妖精のことで依頼を受けたの。あの青騎士卿の後継者だそうよ。本当かどうか知らないけど、仕事を終えるまで解放してくれそうにないわ』
 ハスクリーと名乗る男に監禁(かんきん)されかかったことも書こうかと迷った。が、心配させるだけになりそうなのでやめる。
『とにかく、わたしのことは心配しないで。それではお父さま、お身体(からだ)に気をつけて』
 宛名を書き、封をしたとき、ノックの音がした。

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