魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第七章7.6完
「なかなか、ストレートに怒るよね、彼女は。いっそ気持ちがいいくらいだ」
わざとエドガーに聞こえるように言ったリディアの捨てぜりふを聞きながら、宝剣を拾い上げ、彼は楽しそうに目を細めた。
レイヴンが彼に歩み寄る。
「エドガーさま、なぜわざわざ、リディアさんを怒らせるようなことを言ったのですか」
「照れ隠しかな」
「はあ」
「そんなところもかわいいけどねって、抱きしめながら言ってしまったから」
「照れるほどのことでは。もっと恥ずかしいことを、日ごろから平気で口にしておられるように思いますが」
「わかってないね、レイヴン。口先だけのことなら平気で言えるんだよ」
「……でしたら、絶交されてしまっては意味がないのでは」
エドガーは、ふふ、と不敵に笑う。
しかしその笑みを静かにくもらせ、神妙(しんみょう)に目を伏せた。
「当分、自粛(じしゅく)するべきだろう?」
レイヴンの、無表情に黙り込んだだけにも見える瞳に、複雑な戸惑いと悲しみの色が宿る。
彼の肩に、そっと手を置く。
「花を摘(つ)みに行こう。彼女に手向(たむ)けるために」
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