东野圭吾作品精读:《白夜行》第四章 第五回
《白夜行》将无望却坚守的凄凉爱情和执著而缜密的冷静推理完美结合,被众多“东饭”视作东野圭吾作品中的无冕之王,被称为东野笔下“最绝望的念想、最悲恸的守望”,出版之后引起巨大轰动,使东野圭吾成为天王级作家。2006年,小说被改编成同名电视连续剧,一举囊括第48届日剧学院奖四项大奖。“只希望能手牵手在太阳下散步”,这句象征《白夜行》故事内核的绝望念想,有如一个美丽的幌子,随着无数凌乱、压抑、悲凉的事件片段如纪录片一样一一还原,最后一丝温情也被完全抛弃,万千读者在一曲救赎罪恶的爱情之中悲切动容……
中道正晴は北大阪大学工学部電気工学科第六研究室で、グラフ理論を使ったロボット制御を卒業研究テーマに選んでいた。具体的には、一方向からの視覚認識のみで、その物体の三次元形状をコンピュータに推察させるというものだった。
彼が自分の机に向かってプログラムの手直しを行っていると、大学院生の美濃部《みのべ》から声をかけられた。
「おい、中道。これを見てみろよ」
美濃部はヒューレット・パッカード社製のパーソナル・コンピュータの前に座っていた。そのディスプレイ画面を見ながら正晴を呼んだのだ。
正晴は先輩の後ろに立ってモノクロの画面を見た。そこには細かい升目が並んだ三つの画像と、潜水艦を模した絵が映っていた。
この画面には見覚えがあった。『サブマリン』と、彼等が呼んでいるゲームだ。海底に潜んでいる相手方潜水艦を、極力早く撃沈しようとするものである。三つの座標に現れるいくつかのデータから、相手の位置を推測するというところが、このゲームの楽しみどころだ。もちろん攻撃に手間取っていると、敵にこちらの位置を悟られ、魚雷攻撃を受けることになる。
このゲームは、正晴たち第六研究室の学生と大学院生が、自分たちの研究の合間に作ったものだった。プログラムを組むのも、それを打ち込むのも、すべて共同作業で行った。いわば裏の卒業研究といえるものだ。
「これがどうかしたんですか」と正晴は訊いた。
「よう見てみろよ。俺らの『サブマリン』と、ちょっと違うやろが」
「えっ」
「たとえば、この座標を表す模様とか。それに潜水艦の形もちょっと違う」
「あれ?」正晴は目を凝らして、それらの部分を観察した。「そういえばそうですね」
「変やろ?」
「ええ。誰《だれ》かがプログラムを書き換えたんですか」
「ところが、そうやないんや」
美濃部はコンピュータを一旦リセットすると、横に設置してあるカセットデッキのボタンを押し、中のテープを取り出した。このカセットデッキは音楽を聞くためのものではなく、パーソナル・コンピュータの外部記憶装置だった。平たい円形の磁気ディスクに記憶させる方式をIBMがすでに発表しているが、パーソナル・コンピュータのレベルでは、まだカセットテープを記憶媒体として使うのが主流である。
「これを入れて、動かしてみたんや」美濃部はテープを正晴に見せた。
テープのレーベルには、『マリン・クラッシュ』とだけ書いてあった。手書きではなく、印刷されたもののようだ。
「マリン・クラッシュ? 何ですか、これ」
「三研の永田が貸してくれた」と美濃部はいった。三研とは第三研究室の略だ。
「どうしてこんなものを?」
「これや」
美濃部はジーンズのポケットから定期入れを取り出すと、さらにそこから折り畳まれた紙切れを引っ張り出した。雑誌の切り抜きのようだった。彼はそれを広げた。
パーソナル・コンピュータ用ゲーム各種通信販売いたします――そういう文字が目に飛び込んできた。
さらにその下に、製品名とそのゲームの簡単な説明文、そして価格を記した表が付けられている。製品は全部で三十種類ぐらいあった。価格は安いもので千円ちょっと、高いもので五千円強というところだ。
『マリン・クラッシュ』は表の中程にあった。ただし、他のものより太い文字が使われ、おまけに『面白度★★★★』と説明文にはある。太い文字で書かれているものは、他にも三つほどあるが、星が四つ並んでいるのはこれだけだった。販売主が、強く売ろうとしているのがよくわかる。
売っているのは、『無限企画』という会社だった。正晴は見たことも聞いたこともない社名だった。
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