双语阅读:【青春小说连载】春の夢(33)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
二(13)
そして、哲之を横目で見やって、微笑んだ。
「チップ、くれる人もいてるんですか?」
と哲之は訊いた。
「いてるよ。百円玉を三つとか、五百円札を一枚とか、色々やけど、多い日は、一日のアルバイト料より多いときもあるで」
それはありがたいと哲之は思った。フロントは一番忙しい時間だった。
「ボーイさん、ご案内してください」
と言う声が聞こえた。並んで立っていた磯貝が哲之の背を押した。哲之は、さっき磯貝がやったのと同じように、素早くフロント係からキーを受け取り、客のボストンバッグを持った。キーについたプラスチックの四角い棒には十一ーー二五六二と刻まれていた。哲之は大きな声で、
「十一階の二千五百六十二号でございます」
と言って、エレベーターの前に行き、客を先に乗せ、十一階のボタンを押した。それから、
「十一階にご案内いたします」
と自分でも奇異に思えるくらいの大声で言った。初老の男の客は、少し驚いたように哲之を見て、
「元気がいいねえ」
と言った。哲之は緊張して黙っていた。エレベーターから出ると、正面の壁に標示してある番号を見た。右を差す矢印(やじるし)と左を差す矢印があり、右側には二千五百―二千五百四十九、左側には二千五百五十ー二千五百九十九と標示されていた。哲之はそれぞれの部屋番号を確認して左側の廊下を歩いて行った。廊下の左右に部屋があるので、哲之はそれぞれの部屋のドアに印された番号を見逃げないように注意して進んだ。部屋の鍵を開け、室内の明かりを灯し、客を入れてから荷物を置くと、バスルームのドアを開いて、磯貝が言ったのと同じ言葉を客に伝えた。そしてキーを渡しながら、
「ルームサービスは」
と言ったところで、言葉が出なくなった。何番のダイヤルを廻すと磯貝が言ったのか忘れてしまったのだった。
「エーと、ルームサービスは……」
客は笑って、
「六番だろう?フロントは一番だ。何度も泊まってるから知ってるよ」
と言った。
「すみません。きょう、初めてこの仕事についたものですから」
哲之が頭を下げると、
「新米か。俺の方がこのホテルには詳しいわけだな」
客はそういいながら、ズボンのポケットから何個かの百円玉を出して哲之の手に握らせた。哲之は、ありがとうございますと、また頭を下げた。
「チップの貰い方はうまいもんだぜ」
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