双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(173)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
ボクはそう言って、オカンをからかった。それからずっと、オカンの似顔絵を描く時は「怪物くん」のフランケンのように首に縫い目を描いていた。
一緒に飛行機に乗ることも初めてだった。オカンはこの時以外に、飛行機に乗ったことがあったのだろうか?
飛び立つと共に表情が緊張と恐怖で強張(こわば)っていた。もちろん、ボクも隣で同じ顔をしていた。
茶室乗務員が飲み物やアメを差し出すたび、まるで恵んでもらっているかのように、深々と頭を何回も下げていた。
「オカン、飛行機怖いんやろ?オレも怖いんよ。この揺れるのが好かん」
「なんね、男のクセしてから……」
雨期のハワイは思っていたほど暑くもなく小雨が降る日もあった。
添乗の仕事で何度もハワイに来たけれど、このホテルに泊まることは滅多にないと、興奮気味に修さんが言う、ハレクラニというホテルにボクらはチェックインした。
ボクとオカンはツインの同室で、ウエルカムフルーツを見つけては感動し、緊張した。
オーシャンビューの出窓から見える、見たこともないような色の海。オカンはベランダに出て、柵に両手をつき、しばらくの間、じっと海を眺めながら風を受けていた。
その姿が小学生の女の子のようだった。
オカンたちは、すぐに買い物に出掛け、姉妹揃ってムームーを購入。すぐさまそれに着替えている。どうやら滞在中はこれで過ごすつもりらしい。
「どうかね?いいかね?」
「どうかねっても、まぁ涼しいでよかろ」
オカンは部屋に飾られた南国の花を花瓶から一輪抜き取って耳元に当て、フラダンスらしき踊りをボクの前で踊ってみせた。
「どうかね?ふふふーん」
たぶん、ボクが想像している以上に、うれしかったのだと思う。
そういえば、ボクは髪を長く伸ばしたオカンを見たことがない。昔の写真を見ても、独身の頃モノクロ写真を見ても、肩まで髪があるようなことはなかった。オカンはすごいねこっ毛だったから、短くしないと髪がまとまらなかったのかもしれない。
そして、ボクもねこっ毛だ。
「ムームーの下には、なんも着らんのが本式なんよ」
「着とらんのね?」
「そうよ」
「誰に聞いたん?着ときよ」
どこかで間違った「本式」を憶えてきたようである。たとえそれが本当に「本式」の着こなしであったとしても、ボク及びハワイの人々は、それを求めないだろう。
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