双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(186)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
しかし、田舎の話とはいえこの時代に衣類を盗む泥棒がいるというのも切(せつ)ない話である。
奥の六畳間にボクのベッドを置いてオカンの部屋にした。もうひとつの六畳間にはテレビ、机、本棚を置いて、ボクが寝るためのソファーベッドを買った。パイプ式の安物で横になると折り畳み部分の金属が背中に当たって痛いのだけど、マットレスの付いたベッドを置けるようなスペースはない。
オカンが上京してきた日。ボクは東京駅のホームでオカンを運んでくる新幹線を待っていた。見慣れたこの駅のホーム。ボクはもうこの街に十二年住んでいる。いつの間にか、どの土地よりも長くここにいる。
今までいろんな駅のホームでボクはオカンに見送られながら列車に乗り込んで来た。でも、今はオカンを迎えるために東京駅のホームにいる。春夏秋冬同じ景気のこのホームにひとり号が滑り込んで来ると、スーツを着た乗客の谷間から首にスカーフを巻いて、胸にブローチを付けた背の低いオカンが小さなボストンバッグを提(さ)げて降りてきた。
ボクの姿を見つけると照れ臭そうに笑って手を振った。駅の名前も電車の乗り方も知らず、知り合いもいないこの街にオカンは六十を過ぎてひとりやって来た。まるで、十八歳の時のボクのように小さなカバンをひとつ提げて東京駅のホームに降りてきた。
頼りない子供のような顔で立っている。でも、あの時のボクとオカンとが違うことは、オカンはこの街に対してなんの目的も感情も持ってはいない。ただ、ボクがいるということ以外に、東京を目指す理由はないのだから。
それを想うと、切なさと重たさが混ざり合ってボクの胸の中を膨らませた。
東京駅からjr中央線に乗り、新宿から京王線に乗り換えて笹塚の家に到着すると部屋を見回して「広いやないね」と広くはない部屋を歩き、小さなベランダに出ると目前にそびえ立つ巨大なオブジェを目差して言った。
「これは、なんね?」
「ボウリングのピン。下がボウリング場なんて……」
「賑やかでよかたい。駅も近いしねぇ。一階はスーパーやし便利がよかろう」
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