双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(203)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
オカンはいつもより丁寧な化粧をして、その日は朝からそわそわしていた。東京駅までオカンを迎えに行き、ボクの運転する車で笹塚へと走らせた。車の中でも、オカンの病状をあれこれ聞くでもなく、例によって、いかに小倉の景気が悪いかという話題に終始する。そして、オマエの調子はどうやというお馴染みの流れになり、東京やったらまだ仕事も少しはあるやろうという決まり文句で結んだが、車の運転をしている自分の息子をサングラス越しに一瞥すると、一拍置いて、おもむろに質問してきた。
「オマエはだいたい、なんの仕事をしよるんか?」
「おう。どうか?」
オカンに会うなり、オトンは言った。どうもこうもないと思う。数日後に首をバックリ切られるのである。そう言うと、ズンズン部屋に進んで入り、ズボンを脱ぎ、ジャンパーを掛け、煙草に火を付けたと思ったら、次はこう言う。
「お茶くれ」
超マイペース。相変わらずだ。相変わらずであることになんの裏切りもなく相変わらずだ。
食材を買っても入院してしまうのだし、今晩は外食に出ようということになったが、久しぶりの親子三人の映画さにボクの方が耐えきれなくなり、例によって近所の若い衆に声をかけ、大勢で下北沢のこざっぱりしたおでん屋へ出掛けた。
「お父さん、初めまして……!!」
初対面のあいさつをする若い衆は皆、一様に凍りついている。
無論、無愛想かつ面倒臭がりのオカンはそのあいさつのもほぼ無視。オールバックでボビー・ブラウンのようなサングラスを掛け、シャネルの白いシルクのジャンパーを着ている。右の小指の爪だけ長い。細長いミスタースリムを毎分一本喫い、自分の好きな料理は自分の前にたぐり寄せ、誰に勧めることなく、すべて自分でたいらげる。
刺身を一口つまめば「東京の魚は食えたもんやないのぉ」と感じたままを発表し、まだみんな食べているにも拘らず「コーヒー飲みに行こか」と言い出すもので、ホセが慌てておでんの玉子を丸飲みした。
かなわない、この人には。
ボクは十一階の部屋に戻り、オトンとオカンは七階で降りた。
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