双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(238)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
「胃ガンです。それもスキレス性胃ガンと言いまして……」
医師が患者に面と向かって末期ガンを告知するというケースはどれくらいあるのだろう。少なくともこの医師は、この状況にはなれていないように映る。緊張して早口になり、厳しいことを知らせているにもことわらず、話し方は無機質で、一気にすべてをまくしたてた。
オカンはその間、消え入るような声で「はい……」「そうですか……」と相槌を打っていた。抗がん剤治療の話題になるとオカンは即答(そくとう)はせず、「少し考えてみます……」と残した。
告知が終わって病室へ戻るオカンの姿は無理からぬことだが明らかに落胆していた。スリッパの音がペタペタと力なく鳴っている。
「スキルスっていうたら、アナウンサーの逸見(いつみ)さんと同じガンやねぇ……」
それがどういった類のものかいろいろな情報が頭と心を巡っているようだった。それはボクと同じで、オカンにしてみても自分が思っていた以上に病状は悪いものだった。
あの告知を聞かされてすぐに抗がん剤治療に対して前向きになれというのも土台無理な話で、オカンはしばらく無口になり、表情にも憔悴が見てとれる。
もしボクが同じ状態に置かれたら、厳しく厭世的に振る舞い、自暴自棄に陥るだろう。落ち込んで静かになっているオカンだったが、その沈黙に自分で気付いた途端、少し笑って冗談めいたことを言った。
すごい人だな、とボクは思って胸が熱くなった。
その後、ボクとミッチャン、泰さんとオカンの四人で、今後の治療法について話し合った。
「きついやろうけど、してみらんことにはなんとも言えんのやから、抗がん剤治療をしてもらうことにしよ」
ボクはずっとその論調でオカンを説得する。
「可能性があることは全部やっていかんと。マーくんもあたしたちも一緒に頑張るんやけん、栄子ババも頑張ろう。それとね、ワクチンのことをいろいろ調べてみたんやけどね、丸山ワクチンとか、ハスミワクチンとか、実際に栄子ババと同じ状態になっとる人でも、ワクチンで完治したっていう話はたくさんあるらしいんよ。国とか病院とかが認めとる薬やないからねぇ。でも、こっちから買いに行ったもんを病院に持って行って、お医者さんに注射してもらうようにお願いすることはできるらしいけん。私が代わりに行ってから、相談して、処方してもらえるようにしてくれるけん。阿佐ヶ谷にハスミワクチンの診療所があるらしいんよ」
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