双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(255)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
あの日の夜のことは、どうしても思い出せないのです。
記憶の道筋を辿って、抜け落ちたその部分の前後から呼び起こそうとしても、まるで思い出すことができない。
オカンのベッドの枕元にある小さな白い照明と、間隔の緩(ゆる)やかになった心電図の音と緑色の明かり。
その光だけがちらちらする病室で、ボクはオカンの右手を、オトンはオカンの左手を握りしめたまま、ずっと眠り続けるオカンの顔を見ていた。
ものすごく熱くて、むくんだ手。ボクとオトンはなにも喋らなかった。煙草を喫いにも行かなかった。
その姿勢のまま、ただ、じっと、オカンの消え入りそうな寝息を聞いていた。
それが夜の何時くらいだったのだろう。いつにも増して、とても静かな夜で、いつにもなく深い香りの夜だったけれど、三人が一緒にいることで、寂しくも心細くもない夜だった。もうすぐ、どこかに行ってしまうのかもしれないオカンの横顔を眺めながら、悲しさの隣で、少しだけ温かいものがじんわりと温もりを持っていた。
そして、それから、ボクとオトンがいつ、どうやって眠りに落ちたのか、どうやっても思い出すことができない。
ただ、その時の眠りは徹夜の続いたこの数日、いや、この数ヶ月、もしかしたら、今までに経験のないくらい深くて安らかなものだったと思う。
まるでどこか、この世ではない場所に抜け出して、さざ波を遠くに聞きながら揺り竜で眠ったようだった。果てのない海に沈んでいくように柔らかで心地良かった。
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