双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(282)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
オカンの遺影を囲んでみんなで飲む。しばらく酒を断っていたので急に弱くなった気がする。ブランデーしか飲まないオトン。しかも、明治屋にしか売ってないデラマンというブランデーが旨い、あれしか飲んだ気がしないというので六本木の明治屋まで行って買って来た。
自称ブランデー好きのホセだが今まで白木屋のブランデーしか飲んだことがないので「これ旨いッスねー!」と連呼しながらも、その違いがわかっているのかは怪しい。
「しかし、なんやなぁ……。東京で色々お母さんの話を聞いとると、私の全く知らんお母さんよ。へぇ、そういう所もあるんやなぁと、聞いとるたんびに思うもんねぇ……」
オトンは何度もその話をした。ボクは聞くたびに、そりゃそうだろうとも思った。
「結婚したばっかりの時よ。お母さんがこう言うたんや。浮気をするんなら、わからんようにやってくれち。そういうことを面と向かって言う女やったねぇ」
オカンはずっと、オトンの前ではそうやって、強がった所ばかり見せていたのではないだろうか。そしてオトンはそう見せているオカンしか見ていなかったのかもしれない。
オカンが息を引き取った直後、オトンがボクに言った。
「今際の際に起き上がろうとしよったなぁ……。たいしたもんやった……。お母さんは入院してから死ぬまで、苦しかったやろうけど、最後まで弱音を吐かんやったのぉ……」
でも、オトンは知らない。オカンが死ぬ二日前に、痛みにのたうちまわって自分で点滴の針を引き抜き、吐き出した言葉を。
"死にゃあええ……"
それはオトンとオカンに限らず、ほとんどの夫婦がそうやって互いのどこかを見せないまま、知らないまま、ずっと一緒に暮らしているのかもしれない。
初七日が過ぎようとしている。オトンは明日、小倉に帰るそうだ。そしてまた、前と同じように別々の暮らしが始まる。四十九日にはまた出て来ると言っている。そして、年に一度、オカンの命日には東京に来ると言った。
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