双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(301)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
オカンとの約束どおり、小さなバッグにオカンの位牌を入れて、一緒に昇った。
かつてと違って人もまばらな入口から、老朽化したエレベーターで一気に空へ吸い上げられる。
大展望台をとばして、そのまた上、地上二百五十メートルの特別展望台に向かった。
眼前に広がる東京の凝縮された風景。ひとつの視界に様々な街が一枚の絵になって飛び込んでくる。
「オカン、すごいね……」
オカンが眠りについたあの病院も、すぐ真下に見えている。あの時、病室の窓からみんなで見上げたこの東京タワーに、今、ボクたちはいて、そこから、あの日の窓を見おろしている。
オカンが死んだ年の五月にある人は言った。
「東京タワーの上から東京を眺めるとね、気が付くことがあるのよ。地上にいる時にはあまり気が付かないことなんだけれど、東京にはお墓がいっぱいあるんだなぁって」
確かに、そのとおりだった。緑地の中に、ビルの谷間に、墓地は点在していた。地上に暮らす者が気付かず見落とし、忘れていても、実際には近代的なビルの間にも、屍が眠っている。
そして、ボクにはこの街全体、この東京の風景すべて巨大な霊園に見えた。
ひしめき合って立ち並ぶ長方形のビル群はひとつひとつが小さな墓石に見える。その大小があっても、ここからはたいした区別がない。
遥か地平線の向こうまで広大に広がる巨大な霊園。この街に憧れ、それぞれの故郷から胸をときめかせてやってきた人々。
この街は、そんな人々の夢、希望、悔しさ、悲しみを眠らせる、大きな墓場なのかもしれない。
オカン。
あれから、何年か経ったけど、今でもボクは淋しいでたまらんよ。
なにかっちゅうて、いつもオカンの姿を思い出しよる。
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