アメリカと中国が閣僚レベルで包括的な協議を行う初の「米中戦略・経済対話」は、この秋のオバマ大統領の訪中を視野に、対話と協力の拡大を進めることを確認し、２日間の日程を終えました。

　「アメリカは中期的には財政赤字の削減に取り組んでいく」（ガイトナー財務長官）

　ワシントンで行われていた米中戦略・経済対話は、まず経済面では、景気回復後に持続的かつ均衡の取れた成長軌道に乗せるために、アメリカが貯蓄の増加や財政赤字の削減に取り組むこと、中国は個人消費がけん引する内需拡大に取り組むことで一致を見ました。

　しかし、注目されていた人民元の切り上げやドルの価値下落の問題では、突っ込んだ議論は行われなかったとされています。

　一方、外交・安保分野では、北朝鮮問題で６か国協議の重要性を確認すると共に、国連の制裁決議を誠実に履行することを確認した他、中断していた米中間のハイレベルの軍事交流の再開で合意しました。

　「土台を作ることは直ちには成果を多くもたらさないかもしれませんが、信頼と理解を作るためにはとても良い投資なのです」（クリントン国務長官）

　この新しい対話の枠組み、初回ということもあって、具体的な成果は限定的で、来年以降、現に抱えている多くの対立点をどう克服するのかが見ものですが、米中関係は当面、秋のオバマ大統領訪中に向けて、パートナーシップを演出することになりそうです。（29日11:05）