ロシアのメドベージェフ大統領は１６日、チェチェン共和国の人権活動家ナタリヤ・エステミロワさんが殺害された事件について「プロの犯行であるのは明らかだ」と述べ、チェチェン国内で活動する武装勢力による犯行との見方を示しました。

　メドベージェフ大統領は訪問先のドイツ・ミュンヘンで行われた記者会見で、１５日に遺体で発見されたチェチェン共和国の人権活動家ナタリヤ・エステミロワさんについて、「彼女の言動は率直で手厳しいものだったが、正常な国家は受け入れなければならない」と述べ、行方不明者の捜索などを中心に行っていた彼女の活動を評価しました。

　しかし、エステミロワさんが批判の対象にしていたカディロフ・チェチェン大統領など現地の政権が事件に関与しているとの見方については、「幼稚で受け入れられない」と否定しました。

　事件に関連し、モスクワ駐在のアメリカ大使はエステミロワさんの殺害について、「ロシアは最も著名な民間人を失った。彼女の業績に敬意を表したい」との声明を発表し、事件の解明に向けた西側各国の関心の高さをうかがわせています。

　メドベージェフ大統領の発言はこうした外国からの関心に応える形で、異例の見解を示したとみられます。

　ロシアでは、２００６年に当時のプーチン政権批判を繰り返していた女性ジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤさんが自宅で殺害されるなど、体制批判の先頭に立つジャーナリストの殺害がたびたび繰り返されています。