2級读解82
これは、終戦後間もないころ、(1)友人から聞いた話である。彼は、だいたいが慎重な運転をする男だったが、ある日のこと、横丁から突然、そば屋の青年が自転車で飛び出してきて、彼の自動車と衝突してしまった。
幸い青年にケガはなかったが、自転車はメチャメチャ。さっそくおおぜいの人垣ができ、警察官もやってきた。友人が、「私には責任はない。その青年の不注意だ」と主張すると、その話を聞いた警察官は、(2)とにかく五千円払えぱ立ち去ってもよい、と言ったという。
友人が、「ちょっと待ってください。私には落度がないのに、なぜ罰金を……」と(3)問い返すと、彼は「いや罰金じゃない。青年がかわいそうじゃありませんか」と答えた。その青年はおそらく店にいられなくなるだろう、だからせめてメチャメチャになった自転車の代金の一部だけでも、と警察官は考えたのだろう。
(4)悪くすると、これは大きなトラブルになりかねない。友人は根が日本びいきで、日本語も日本人的心情も理解していたから、それ以上の論争にはならなかったが、どちらがよいか悪いかの問題ではなく。西洋と日本では、法や正義に対する考え方が、全く違うことがわかる。この警察官の考え方の中には、正義とか法とかいう理念よりも、きわめて日本的な情けや情といったものが深く入り込んでいたのである。
これは、実に人間昧のある態度、考え方で、友人の話を聞いた私は(5)大きいに感動した。理屈や理性だけで判断を下すのではなく、その前後の事情や個々の状況を参考にして、より人情昧にあふれる決定を下すというのは、まさに人道的だと思う。
西洋的な法の観念に慣らされた者が、このような(6)日本の心情を理解するのは、かなりむずかしいことであるが、こういった(7)不合理な部分が許されるからこそ、日本は世界でも珍しく住みよい、人間のふれ合いのある国でいられるのではないだろうか。これらは、日本人が、みずからの長所として、もっと自覚し、誇りを持ってよいことである。
しかし同時に、こういった情は、なんとも定義しにくいものであり、客観的な法の理念の中に入れることは、なかなかむずかしい。そして、もしそれを許すなら、しまいには人権を守ることさえできなくなってしまう。
(ヨゼフ・ロゲンドルフ「ニッポンの大学生」主婦の友社による)
問1 (1)「友人から聞いた話」の内容に含まれるのは次のどれか。
1 事故でおおぜいの人が死んだ。
2 事故でけがをした人はいない。
3 事故で友人は大けがをした。
4 事故で自動車が使えなくなった。
問2 (2)「とにかく五千円払えば立ち去ってもよい」とあるが、警察官がそう言った理由として考えられるのは次のどれか。
1 おおぜいの人が見ていたから。
2 自転車は当時五千円くらいだったから.
3 筆者の友人には責任がないから。
4 青年の立場に同情したから。
問3 (3)「問い返すと」とあるが、友人はなぜ問い返したのか。
1 自分の罪はないと思ったから。
2 周りの人々に罪があると思ったから。
3 青年に罪はないと思ったから。
4 警察官に罪があると思ったから。
問4 (4)「悪くすると」とあるが、たとえばどういうことか。
1 青年がその事故で病気になったりすると
2 警察官がその青年にお金をあげたりすると
3 私がそれをほかの人に話したりすると
4 友人がそれを法的に問題にしたりすると
問5 (5)「大いに感動した」のはなぜか。
1 青年にはケガがなかったから。
2 法と正義の理念が実現されたから。
3 警察官のやり方が人道的だったから。
4 友人がそれ以上論争しなかったから。
問6 (6)「日本的心情」にっいて筆者が言いたいことは次のどれか。
1 人道的な面もあるが、自動車事故があると損をする人もいる。
2 人道的な面もあるが、法の理念とは対立するところがある。
3 人道的な面があるので、日本の警察官はもっと誇りを持つべきだ。
4 人道的な面があるので、西洋の法律にも取り入れるべきだ。
問7 (7)「不合理な部分」とは、この場合どんなことを言うのか。
1 理屈だけで判断しないこと
2 罰金が安すぎること
3 西洋的な法の考え方に慣れていること
4 日本が住みやすいこと
問8 文中の「友人」について、この文章からわかることは次のどれか。
1 日本語がほとんどわからない。
2 法の理念を勉強しに日本へ来た。
3 日本人の考え方がかなりわかる。
4 事故のあと日本がきらいになった。
答案:
正解:2 4 1 4 3 2 1 3
翻译:
这是在发生在战后的,从朋友那听说的事情。他是个开车非常慎重的人,但是,有一天在路边突然有个年轻人从路边店里骑着车冲了出来,和他的汽车撞到了一起。
幸好青年没有受伤,只是自行车撞得破破烂烂的了。很快就有很多人围了上来,警察也来了。我的朋友说:“不是我的责任,是那个年轻人不注意。”,那个警官听了这些话,说,总之,你付5000日元就可以离开了。
朋友又问道:“请等一下,明明不是我的过错,为什么要罚款……”,警官答道,“不,不是罚款,那年轻人不是怪可怜的吗。”警官考虑的是,那个年轻人恐怕在那个店待不下去了,所以至少要(给他一些钱),算作已经报废的自行车的补偿吧。
弄不好的话,这可能会引起大麻烦。朋友本质上是亲近日本的,如果十分理解日语和日本人的心理的话,就不会有上面的那些争论了,这并不是谁对谁错的问题。要明白西方和日本对于法律和正义的思考方法截然不同。在那位警官的考虑中,相对于正义和法律等理念,更多地包含了日本的人情、情意等。
这些包含了真实的人情味的态度和想法,使得听了朋友的事的我大受感动。不轻易地判断是理性还是非理性,而是根据事情前后的经过和各种状况,做出更加充满人情味的决定,我觉得这恰恰是人道的。
习惯了西方法律观念的人,可能会难以理解日本人的这种心情,但是,正是由于这些所谓的不合理的部分,日本才成为世界上稀有的适合于居住的、人际关系融洽的国家的吧。这些作为日本人的优点,应该更加自觉地、自豪地保持下去。
但同时,这种感情也是很难定义的,很难放到客观的法律理念中。而且,如果允许这样的话,最终会连个人的权利也都无法保护了。
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