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【双语阅读】【白夜行】第八回

时间:2011-09-07 11:00:31  来源:可可日语  作者:Anna

 

スーパー『まるかね屋』の正面には小さな公園がある。ブランコと滑り台と砂場があるだけで、ボール遊びが出来るほどのスペースはない。母親が買い物のついでに幼い子供を遊ばせるのには適度な広さといってよかった。
 その公園は主婦たちが井戸端会議をする場所でもあった。自分の子供を知り合いに預けて、その間に買い物をすることもできる。『まるかね屋』を利用する主婦たちの中には、このメリットを買っている者も少なくないようだった。
 桐原洋介が殺された日の午後六時半頃、近くに住む木下|弓枝《ゆみえ》は、スーパーの売場内で西本文代と出会った。文代は買い物を終えたらしく、レジへ向かうところだった。木下弓枝は店に入ったばかりで、まだ籠には何も入れていなかった。二言三言交わし、二人は一旦別れた。
 木下弓枝が買い物を終えて店を出たのは七時を過ぎてからだった。彼女は公園のそばに止めてあった自転車に乗って帰宅しようとした。だが自転車にまたがった時、ブランコに座っている文代の姿が目に入った。文代は何か考え事をしている様子で、ぼんやりとブランコを揺らしていたという。
 それは西本文代に間違いなかったかという刑事の質問に対し、絶対に間違いないと木下弓枝は断言した。
 この証言を裏づけるように、ブランコに乗った文代を見た人間がほかにも見つかった。スーパーの表で屋台を出している、たこ焼き屋の親父である。彼はスーパーが閉店になる八時近くまでブランコに揺られている主婦を、奇異な思いで眺めていたという。たこ焼き屋が覚えていたその主婦の年格好は、文代のものと考えて間違いなさそうだった。
 一方、桐原洋介の足取りに関する新たな情報も得られていた。金曜日の六時過ぎ、彼が一人で歩いているのを、薬局の店主が見ていたのだ。店主によれば、声をかけようと思ったが、桐原が急いでいる様子だったので、かけないでおいたということだった。目撃された場所は、西本文代の住む吉田ハイツと、死体が発見されたビルの、ちょうど中間あたりだ。
 桐原の死亡推定時刻は五時から八時である。だからブランコに揺られた文代がその後すぐに現場に直行すれば、犯行は不可能ではない。しかしやはりその可能性は低いのではないかというのが捜査員たちの大方の考えだった。そもそも死亡推定時刻を八時まで広げること自体に無理があるのだ。未消化物からの死亡時刻の推定は、元来極めて正確である。時には分単位まで割り出すこともできる。現実には犯行は、六時から七時の間に行われた可能性が高かった。
 またもう一つ、遅くとも犯行時刻は七時半より後ではないと推定できる根拠があった。それは現場の暗さである。死体の見つかった部屋に照明はない。昼間ならともかく、夜になると完全に真っ暗になってしまう。ただし、向かい側の建物に照明が入っている間は、その光がほんのりと室内を照らしてくれるので、目が慣れれば相手の顔を判別できる程度には明るい。その向かい側の建物の照明が消えたのが、七時半だったのだ。文代が懐中電灯を用意していれば物理的には犯行可能だが、桐原の心理を考えた場合、そのような不自然な状況で、彼が全く無警戒だったとは考えにくい。
 非常に疑わしいとは思いつつも、少なくとも文代自身が手を下した可能性は低いといわざるをえなかった。
 西本文代に対する容疑が薄らぐ中、別の捜査員たちが新たな情報を入手してきた。質屋の『きりはら』に関することだった。名簿にしたがって最近の利用客を当たっていたところ、桐原洋介が殺された日の夕方に『きりはら』に行ったという人物が見つかったのだ。
 その人物は、大江よりも数キロ南にある、巽《たつみ》という町に住んでいる女性だった。独り暮らしのこの中年女性は、一昨年夫を病気で亡くして以来、しばしば『きりはら』を訪れていた。自宅から遠い店を選んだのは、質屋に出入りするところを知り合いに見られたくなかったかららしい。問題の金曜日は、夫とペアで買った時計を持って、午後五時半頃『きりはら』に行った。
 ところがその女性の話によれば、店は開いていたが、ドアには鍵がかかっていた。呼び出し用のブザーを押してみたが、何の応答もない。仕方なく彼女は店を離れ、近くの市場で夕飯のおかずを買った。そしてその帰り、再び『きりはら』に寄ってみた。六時半頃のことだ。
 しかしこの時もドアには鍵がかかっていた。彼女はブザーは鳴らさず、諦めて帰宅した。ペアの時計は、三日後に別の質屋で現金化した。彼女は新聞をとっておらず、捜査員の訪問を受けるまで、桐原洋介が殺されたことも知らなかった。
 これらの情報から、当然捜査陣の疑いの目は桐原弥生子と松浦勇に向けられることになった。彼等は、あの日は七時頃まで営業していたと供述しているのである。
 笹垣と古賀、さらに二人の刑事が『きりはら』に出向いた。


   

   

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