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东野圭吾作品精读:《白夜行》第四章 第回四

时间:2011-11-14 21:34:43  来源:可可日语  作者:Anna

《白夜行》将无望却坚守的凄凉爱情和执著而缜密的冷静推理完美结合,被众多“东饭”视作东野圭吾作品中的无冕之王,被称为东野笔下“最绝望的念想、最悲恸的守望”,出版之后引起巨大轰动,使东野圭吾成为天王级作家。2006年,小说被改编成同名电视连续剧,一举囊括第48届日剧学院奖四项大奖。“只希望能手牵手在太阳下散步”,这句象征《白夜行》故事内核的绝望念想,有如一个美丽的幌子,随着无数凌乱、压抑、悲凉的事件片段如纪录片一样一一还原,最后一丝温情也被完全抛弃,万千读者在一曲救赎罪恶的爱情之中悲切动容……   

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礼子の話が一段落したようなので、正晴は再びガラスコップに手を伸ばした。退屈な話ではなかった。彼としては雪穂について、もっと詳しく知りたいと思っていたところなのだ。

 だがどうやらこの義母も、彼女のことを完全にわかっているとはいえないらしいと彼は思った。唐沢雪穂という娘は、礼子が思っているほど古風ではないし、おとなしすぎることもない。

 

 

 印象的なことがある。あれは七月だった。いつものように二時間ほど勉強を教えた後、出されたコーヒーを飲みながら雪穂と雑談をしていた。そういう時に正晴が話すことは、大学生活に関することと決まっていた。彼女がその話題を最も好むと知っているからだ。

 彼女に電話がかかってきたのは、雑談を始めてから五分ほど経った頃だ。礼子が呼びに来て、「英語弁論大会事務局の者です、といっておられるんだけど」といったのだ。

「ああ、わかった」雪穂は頷いて、階段を下りていった。それで正晴はコーヒーを飲み干し、腰を上げた。

 彼が下りていくと、廊下の途中にある電話台のそばに立ち、雪穂は話していた。その顔は少し深刻そうに見えた。だが彼が帰ることを合図すると、にっこりして会釈し、小さく手を振った。

「すごいですね、雪穂さん。英語の弁論大会に出るんですか」玄関まで見送りに出てくれた礼子に正晴はいった。

「さあ、私は全然聞いてないんですけど」礼子は首を傾げていた。

 唐沢家を辞去した後、正晴は四天王寺前駅のそばにあるラーメン屋に入り、遅い夕食をとった。火曜日は、そうするのが習慣になっている。

 餃子《ギョーザ》とチャーハンを食べながら店のテレビを見ていたが、ふと何気なくガラス窓越しに外を眺めた時、若い女性が一人、通りに向かって小走りに駆けてくるのが見えた。正晴は目を見張った。それは雪穂にほかならなかったからだ。

 何事だろう、と彼は思った。彼女の表情にただならぬ気配を感じたからだ。彼女は通りに出ると、急いだ様子でタクシーを拾った。

 時計の針は十時を指している。どう考えても、何か突発的なことがあったらしいとしか思えなかった。

 心配になり、正晴はラーメン屋の電話を使って唐沢家にかけてみた。何度か呼び出し音が鳴った後、礼子が出た。

「あら、中道先生。どうかされました?」彼の声を聞き、彼女は意外そうに訊いてきた。緊迫した様子は感じられなかった。

「あの……雪穂さんは?」

「雪棺ですか。代わりましょうか」

「えっ? 今、そばにいらっしゃるんですか」

「いえ、部屋にいます。明日はサークルの用事があって、早朝に集合しなければならないとかで、早く寝るとかいってました。でも、たぶんまだ起きてるんじゃないかしら」

 これを聞いた途端、ぴんときた。まずいことをしたらしいと気づいた。

「あっ、それなら結構です。この次にお邪魔した時、直接話します。急ぎの用ではありませんから」

「そうなんですか。でも……」

「いえ、本当に結構です。どうか、そのまま寝させてあげてください。お願いします」

「そうですか。じゃあ、明日の朝にでも電話があったことだけ伝えておきます」

「ええ。そうしてください。どうも夜分失礼しました」正晴は急いで電話を切った。腋《わき》の下が汗でびっしょりになっていた。

 たぶん雪穂は母親に内緒で、こっそり家を出たのだ。先程の電話が関係しているのかもしれない。彼女がどこへ行ったのかは大いに気になったが、邪魔はしたくなかった。

 自分の電話のせいで雪穂の嘘がばれなければいいが、と彼は思った。

 その心配は翌日解消された。雪穂から電話がかかってきたのだ。

「先生、昨夜電話をくださったそうですね。ごめんなさい。あたし、今朝サークルの早朝練習があったものだから、昨日はすごく早く寝ちゃったんです」

 この言葉を聞いて、どうやら礼子にはばれなかったらしいと察した。

「いや、別に用はなかったんだ。ただ、何かあったのかと思って、心配になってさ」

「何かあったのかって?」

「血相変えてタクシーに乗るところを見たからさ」

 案の定、彼女は一瞬絶句した。その後、低い声で訊いてきた。「先生、見てたんだ」

「ラーメン屋の中からね」正晴はくすくす笑った。

「そうだったんですか。でも、そのことは母には内緒にしてくれたんですね」

「ばれるとヤバそうだったからね」

「ええ、そう。ちょっとヤバい」彼女も笑っていた。

 そう深刻なことでもなかったのか、と彼女の様子から正晴は思った。

「一体何があったんだ? その前の電話が関係ありと見ているんだけどな」

「先生、鋭い。その通り」そういってから彼女は声を低くした。「じつはね、友達が自殺未遂を起こしちゃったの」

「えっ、本当かい」

「彼氏にふられたショックで衝動的にやっちゃったみたい。それで仲間たちが急いで駆け付けたってわけ。でもこんなこと、おかあさんには話せないものね」

「だろうな。で、その友達は?」

「うん、もう大丈夫。あたしたちの顔を見たら、正気を取り戻したから」

「それはよかった」

「ほんとに馬鹿だよね。たかが男のことで死ぬなんて」

「そうだね」

「というわけで」雪穂は明るく続けた。「このことは内密にお願いします」

「うん、わかってるよ」

「じゃあ、また来週ね」といって彼女は電話を切った。

 あの時のやりとりを思い出すと、正晴は今も苦笑してしまう。彼女の口から、「たかが男のことで」などという台詞《せりふ》が飛び出すとは夢にも思わなかった。若い女の子の内面など、他人には想像もできないものだということを思い知った。

 大丈夫、あなたの娘さんはあなたが思っているほどやわではありませんよ――目の前にいる老婦人にそういいたかった。

 彼が麦茶を飲み干した時、格子戸の開けられる音が玄関のほうから聞こえた。

「帰ってきたようですね」礼子が立ち上がった。

 正晴も腰を上げた。素早く庭に面したガラス戸に自らの姿を映し、髪形が乱れていないことをチェックする。

 馬鹿野郎、何をどきどきしているんだ――ガラスに映った自分に活を入れた。

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