东野圭吾推理经典:《白夜行》第四章第十一回
《白夜行》将无望却坚守的凄凉爱情和执著而缜密的冷静推理完美结合,被众多“东饭”视作东野圭吾作品中的无冕之王,被称为东野笔下“最绝望的念想、最悲恸的守望”,出版之后引起巨大轰动,使东野圭吾成为天王级作家。2006年,小说被改编成同名电视连续剧,一举囊括第48届日剧学院奖四项大奖。“只希望能手牵手在太阳下散步”,这句象征《白夜行》故事内核的绝望念想,有如一个美丽的幌子,随着无数凌乱、压抑、悲凉的事件片段如纪录片一样一一还原,最后一丝温情也被完全抛弃,万千读者在一曲救赎罪恶的爱情之中悲切动容……
やや栗色《くりいろ》を帯びた長い髪が、雪穂の横顔を隠した。彼女はそれを左の中指で耳にかけ直したが、何本かは残った。こんなふうに髪をかきあげるしぐさが、正晴は大好きだった。白く滑らかな頬を見ていると、思わずキスしたくなる衝動に駆られる。初めて彼女の家庭教師をした時からそうだった。
空間上の二つの面が交わった時に出来る直線の式を求める、という問題に雪穂は取り組んでいた。解き方は教えてあるし、彼女も理解している。彼女が持っているシャープペンシルは、殆ど動きを止めることはなかった。
制限時間をたっぷり残して、「できました」といって彼女は顔を上げた。正晴はノートに書かれた数式を念入りに見た。数字や記号の一つ一つが丁寧に書かれていた。答えのほうも間違いがなかった。
「正解だよ。完璧だ。文句のつけようがない」雪穂の顔を見ながら彼はいった。
「ほんとう? うれしい」彼女は胸の前で小さく手を叩いた。
「空間座標については、ほぼ理解したようだね。この問題が出来れば、後は全部この応用と考えてもいい」
「じゃあ、ちょっと休憩しません? 新しい紅茶を買ってきたの」
「いいよ。少し疲れただろうからね」
雪穂は微笑み、椅子から立ち上がると、部屋を出ていった。
正晴は彼女の机の横に座ったまま、部屋の中を見回した。彼女がお茶を淹《い》れに行った時は、こんなふうに一人で取り残されるわけだが、この時間が、彼としては極めて落ち着かなかった。
本音をいうと、部屋のあちこちを探索してみたい気持ちがある。小さな引き出しを開けたいし、本棚に挟んであるノートを開いてもみたい。いや、雪穂が使っている化粧品の銘柄を知るだけでも、かなりの満足度が得られるはずなのだ。しかし動き回ったり、部屋のものに触れたことが、万一彼女にばれた時のことを考えると、じっとしているしかなかった。彼女に軽蔑されたくはなかった。
こんなことならあの雑誌を持ってくればよかったなと彼は思った。今朝、駅の売店で男性向けファッション雑誌を買ったのだ。だが雑誌を入れたスポーツバッグは、一階の玄関を上がったところに置いてある。汚れているうえに、アイスホッケー部にいた頃使っていた巨大なバッグなので、雪穂を教えている間は下に置いておくことが習慣になっている。
仕方なく彼は、ただ室内を眺めることになった。本棚の前に、ピンク色をした小型のラジカセが置いてある。そばにはカセットテープが数本積まれていた。
正晴は腰を浮かせ、カセットのレーベルをたしかめた。荒井由実、オフコースという文字が見えた。
彼は椅子に座り直した。カセットテープから、全く別の連想を始めていた。例の『サブマリン』のことだ。
美濃部を中心に、今日も情報交換を行ったが、どこからプログラムが流出したのかは全くわからなかった。また美濃部は、テープを販売している『無限企画』という会社に電話したらしいが、何も収穫はなかったという。
「どうやってプログラムを入手したのかって訊いてみたんやけど、そういうことには答えられへんの一点ばりや。電話に出たのは女やったから、技術の人間に代わってくれというたんやけど、けんもほろろというやつや。たぶん確信犯やな。カタログに載ってたほかの商品も、どこかでパクってきたプログラムと違うか」
「直接会社に行ってみたらどうでしょう」正晴は提案してみた。
「意味はないな。たぶん」即座に美濃部は却下した。「プログラムが盗まれたと騒いだところで、相手にしてもらわれへんやろ」
「『サブマリン』を持っていって、見せたら?」
それでも美濃部は首を振った。
「『サブマリン』のほうがオリジナルやという証拠がどこにある? 『マリン・クラッシュ』を真似て作ったんやろといわれたらそれまでや」
彼の話を聞いているうちに、正晴は頭をかきむしりたくなってきた。
「そんなことをいったら、いくらでもプログラムを盗んで商売ができるじゃないですか」
「そういうことや」美濃部は冷めた顔でいった。「いずれはこの分野でも著作権というものが必要になるやろな。じつをいうと、法律に詳しい友達に、今度のことを話してみたんや。で、俺らのプログラムが盗まれたことを証明できたとして、どの程度まで賠償請求できるかと訊いてみたところ、そいつの答えはノー、つまりそれは難しいという答えやった。何しろ判例がないからな」
「そんな……」
「だからこそ、俺は犯人を見つけだしたい。見つけたら、ただではすまさへん」美濃部は凄みのある声でいった。
犯人を見つけたとしても、一、二発殴るぐらいしかできないのかと、正晴は空しい思いがした。そして、プログラムを盗まれるようなドジなことをしたのは誰だろうと、仲間たちの顔を思い浮かべた。そいつにも恨み言をいいたいところだった。
プログラムというのは財産なんだな――正晴は改めてそう思った。これまではあまりそんなふうに意識したことはなかった。自分にとって大切なものだから取り扱いに気をつけてはきたが、他人から盗まれることを想定したことは殆どない。
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