一级读解学习03
野薔薇
小川 未明
大きな国と、それよりすこし小さな国とが、となり合っていました。当時、その二つの国の間には、何事も起こらず、平和でありました。
ここは、都から国境であります。そこには、両方の国から、ただ一人ずつの兵隊が派遣されて、国境を定めた石碑を守っていました。大きな国の兵士は、老人でありました。そうして、小さな国の兵士は青年でありました。
二人は、石碑の建っている右と左に、番をしていました。いたってさびしい山でありました。そして、まれにしか、その辺を旅する人影は、見られなかったのです。
初め、たがいに顔を知り合わない間は、二人は、敵か味方かというような感じがして、ろくろくものも言いませんでしたけれど、いつしか二人は、仲良しになってしまいました。二人は、ほかに話をする相手もなく、たいくつであったからであります。そして、春の日は長く、うららかに頭の上に照りかがやいているからでありました。
ちょうど国境の所には、だれが植えたということもなく、一株の野薔薇が茂っていました。その花には、朝早くからみつばちが飛んできて集まっていました。その速い羽音が、まだ二人のねむっているうちから、夢心地に耳に聞こえました。
『どれ、もう起きようか。あんなに蜜蜂がきている。』と、二人は、申し合わせたように起きました。そして、外へでると、果して、太陽は、木の梢の上に元気よくかがやいていました。
二人は、岩間から湧き出る清水で口をすすぎ、顔をあらいにまいりますと、顔を合わせました。
『やあ、おはよう。いい天気でございますな。』
『本当にいい天気です。天気がいいと、気持ちが清々します。』
二人は、そこで、こんな立ち話をしました。互いに頭をあげて、辺りの景色をながめました。毎日見ている景色でも、新しい感じを、見るたびに心にあたえるものです。
青年は、最初、将棋の歩み方をしりませんでした。けれど、老人についてそれを教わりましてから、このごろは、のどかな昼ごろには、二人は、毎日向かい合って、将棋を指していました。
初めのうちは、老人のほうがずっと強くて、こまを落として指していましたが、しまいには、当たり前に指して、老人が負かされることもありました。
この青年も老人も、いたっていい人々でありました。二人とも正直で、親切でありました。二人は、一生懸命で将棋盤の上で争っても、心は打ち解けていました。
『やあ、これはおれの負けかいな。こう逃げ続けては、苦しくてかなわない。本当の戦争だったら、どんなだかしれん。』と、老人は言って、大きな口を開けてわらいました。
青年はまた、勝ち味があるので、うれしそうな顔つきをして、一生懸命に目をかがやかしながら、相手の王様を追っていました。
小鳥は、梢の上でおもしろそうに歌っていました。白い薔薇の花からは、よいかおりを送ってきました。
冬は、やはりその国にもあったのです。寒くなると、老人は、南の方をこいしがりました。その方には、せがれや孫が住んでいました。
『早く、ひまをもらって帰りたいものだ。』と、老人は言いました。
『あなたがお帰りになれば、知らぬ人がかわりに来るでしょう。やはり親切なやさしい人ならいいが、敵、味方というような考えを持った人だとこまります。どうか、もうしばらくいてください。そのうちには、春がきます。』と、青年は言いました。
やがて、冬が去って、また春となりました。ちょうどそのころ、この二つの国は、何かの利益問題から戦争を始めました。そうしますと、これまで、毎日なかむつまじくくらしていた二人は、敵、味方の間がらになったのです。それが、いかにも不思議なことに思われました。
『さあ、お前さんとわたしは、今日からかたきどうしになったのだ。わたしは、こんなに老いぼれていても少佐だから、わたしの首を持っていけば、あなたは出世ができる。だから、殺してください。』老人は言いました。
これを聞くと、青年はあきれた顔をして、『何を言われますか。どうして、わたしとあなたとが敵どうしでしょう。わたしの敵は、ほかになければなりません。戦争は、ずっと北の方で開かれています。わたしは、そこへ行って戦います。』と、青年は言い残して、去ってしまいました。
国境には、ただ一人、老人だけが残されました。青年のいなくなった日から、老人は、呆然として日を送りました。野薔薇の花がさいて、蜜蜂は、日が上がってからくれるまで群がっています。今、戦争はずっと遠くでしているので、たとえ耳をすましても、空をながめても、鉄砲の音も聞こえなければ、黒いけむりのかげすらみられなかったのであります。老人は、その日から、青年の身の上を案じていました。日はこうして経ちました。
ある日のこと、そこを旅人が通りました。老人は、戦争について、どうなったかとたずねました。すると。旅人は、小さな国が負けて、その国の兵士はみな殺しになって、戦争は終わったということを告げました。
老人は、そんなら青年も死んだのではないかと思いました。そんなことを気にかけながら、石碑の礎にこしをかけてうつむいていますと、いつかしらず、うとうとと居眠りをしました。かなたから、大勢の人の来る気配がしました。見ると。一列の軍隊でありました。その軍体はきわめて静粛で、声一つ立てません。やがて、老人の前を通るときに、青年は、黙礼をして、薔薇の花をかいだのでありました。
老人は、何かものを言おうとすると、目が覚めました。それは、全く夢であったのです。それから一月ばかりしますと、野薔薇がかれてしまいました。
その年の秋、老人は、南の方へひまをもらって帰りました。
言葉の解説
番をする/ 見張りをする
ろくろくものも言いません/ まともなものも言いません。十分にお話もしません。
当たり前に指す/ こまを落さないで指す
どんなだかしれん/ どんな様子だか知れません
青年の身の上を案じていました/ 青年の運命を心配していました
かの青年でありました/ あの青年でありました
手引き
1 二人の心の結び付きがよく表れているところを、ぬきだしてみましょう
2 野薔薇がかれたことから、どんなことが想像されますか。また『野薔薇』という題がなぜ付けられたのか、考えてみましょう。
3 二人の兵士が仲良になった理由はどのように書かれているでしょうか。その理由を、さらにほり下げて考えてみましょう
读解译文
野蔷薇
[小川未明]
一个大国和一个比其小的国家接壤相邻。当时,两国之间无任何纠纷,和平相处。
这是一处远离首都的边境所在。在这里,两国都只派遣一个士兵守护着国境线上的界碑。大国的士兵是一位老者,小国的士兵则是一位青年。
二人在界碑的一左一右值班。此处是一个十分寂寞的深山,很少能见到游客的身影。
最初,当两个人还不认识时都有一种敌我双方的感觉,很少跟对方讲话,可是不知何时,两个人却成了好朋友。这是由于除两个人外再没有任何说话的伙伴,同时也是由于春天的太阳长时间地暖洋洋的照在头上的缘故。
正好在国境线处,自然的生长着一株茂密的野蔷薇。蜜蜂一大早就飞来聚集到蔷薇花上(采蜜)。蜜蜂那悦耳的振翅声,当两个人还在睡梦中就传入了耳底。于是,两个人就会不约而同的说道:“啊,该起床了。蜜蜂都来这么多了。”起床后来到外边一看,果然太阳已经照在了树梢上。
当两个人准备用岩石缝里涌出的泉水漱口洗脸时就碰了面。于是两个人就会站在那里交谈几句:“啊,早上好,今天真实个好天啊。”“的确是个好天啊。天气一好,心情也格外舒畅。”
说完,两个人还会抬头眺望四周的景色。虽然是每天都见惯了的景色,可是每看一次都会给你一种新的感受。
那位青年最初不会下象棋,可是在跟老者学了一段时间之后,近来两个人便可在和暖的中午时分每天对坐而弈。
最初,老者棋艺高超,下棋时要让子给青年,可是到了后来,两个人就可以平下,有时青年甚至还能让老者输上几盘。
这位青年和老者都是十分好的人,两个人既正值又热诚,虽然两个人在棋盘上互不相让,可是内心深处却十分融洽。
“哎呀,这次又是我输了。这么逃来逃去真是难受死了。要是真的战争,真不知会是什么样子?”
老者说着又张开大嘴笑了起来。
青年由于又有了取胜的希望,因此他一副笑逐颜开的样子,两眼泛着兴奋的光彩拼命的追杀着对方的老帅。
小鸟在枝头快乐的歌唱,白色的蔷薇花送来了诱人的芳香。
这个国家仍然也有冬季。天一冷起来,老者便开始怀念起南方,那里住着他的儿子和孙子。老者说:“真想请个假早点回去。”于是青年人则回答说:“如果您回去了,就会来一个不认识的人吧。如果同样是一位和蔼可亲的人还算罢了,要是一个持有敌我意识的人就难办了。请您无论如何再坚持一阵子。不久,春天就会来的。”
不久,冬去春来。正在这时,两国之间由于某种利益问题爆发了战争。这样一来,每天和睦相处的两人(一下子)便成了敌我关系。这的确令人感到费解。
“今天起你和我就成了敌对关系。我虽然已经这么老了,总还是个少佐,把我的人头拿去的话,你就可以出人头地了。所以,你把我杀了吧!”
老者如是说道。听了这些话,青年大吃一惊。
“您怎么能这么讲。为什么我和您是敌对关系呢?我的敌人必须是其他人。战争正在大北方进行,我到那儿打仗去。”
青年留下了这句话便离开了。
国境线上只留下了老者一个人。当青年人不在的日子里,老者便茫然度日了。野蔷薇开了,蜜蜂从早到晚聚集在花丛上。目前,战争在很远的地方进行,因此侧耳倾听或是遥望天空,既听不到枪炮声,也看不见硝烟。老者从青年离开的那天起便担心着青年的命运,日子便这样过了下来。
一天,一位游人从此经过。老者便向其询问战争的进展如何。于是,那位游人告诉他,小国被打败了,该国的士兵都被杀死了,战争(已经)结束了。
老者想,那样的话,青年也肯定死去了吧。当他心里想着这件事,坐在界碑的石基上低头沉思时,不知什么时候便迷迷糊糊的打了个盹儿——他觉得从远处好像来了很多人。仔细一看是一队士兵。并且骑马指挥这些士兵的便是那位青年。这队士兵非常肃静,不发一丝声响。过了一会儿,当青年通过老者面前时,向他默默的敬了个礼,并嗅了嗅蔷薇的花香。
当老者想要说什么时,就醒了。这原来是一个梦。打那之后,仅过了一个月,野蔷薇便枯萎了。
那年秋天,老人请假回到了南方。
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