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东野圭吾作品精读:《白夜行》第四章 第一回

时间:2011-11-08 14:04:29  来源:可可日语  作者:Anna

《白夜行》将无望却坚守的凄凉爱情和执著而缜密的冷静推理完美结合,被众多“东饭”视作东野圭吾作品中的无冕之王,被称为东野笔下“最绝望的念想、最悲恸的守望”,出版之后引起巨大轰动,使东野圭吾成为天王级作家。2006年,小说被改编成同名电视连续剧,一举囊括第48届日剧学院奖四项大奖。“只希望能手牵手在太阳下散步”,这句象征《白夜行》故事内核的绝望念想,有如一个美丽的幌子,随着无数凌乱、压抑、悲凉的事件片段如纪录片一样一一还原,最后一丝温情也被完全抛弃,万千读者在一曲救赎罪恶的爱情之中悲切动容……   

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傘をさすほどではないが、髪や衣服を静かに濡らしていく。そんな細かい秋雨が降り続いていた。そのくせ時折灰色の雲が割れ、夜空が覗《のぞ》いたりする。狐の嫁入りだなと、四天王寺前駅を出て空を見上げながら中道《なかみち》正晴《まさはる》は思った。母親から教えられた言葉だ。

 彼は大学のロッカーに折り畳み式の傘を入れていたが、そのことを思い出したのが門を出てからだったため、取りに戻るのはやめたのだ。

 彼は少し急いでいた。自慢の水晶発振式の腕時計は午後七時五分を示している。つまり決められた時刻に、すでに遅れているのだ。もっとも約束の相手は、彼が少し遅れるぐらいで嫌な顔を見せたりはしない。急ぐのは、彼自身が早く目的の家に着きたいからにほかならなかった。

 彼は傘の代わりに、駅の売店で買ったスポーツ新聞を頭の上にかざし、とりあえず髪が濡れるのを防いだ。プロ野球のヤクルトが勝った翌日にスポーツ新聞を買うのは、昨年からの習慣だ。中学まで東京に住んでいた彼は、スワローズではなくアトムズと呼ばれていた頃からヤクルトのファンだ。そのヤクルトが、昨年広岡監督の下で奇跡の優勝を果たした。ヤクルトの選手たちが大活躍した記事を、去年の今頃《いまごろ》はそれこそ毎日のように読んだものだった。

 それが今年は全く別のチームのように絶不調である。九月に入って、完全に最下位が定位置となってしまった。当然正晴がスポーツ新聞を買う機会も少なくなる。だからこんなふうに新聞を持っていたのは、幸運といっていいことだった。

 正晴が目的の家の前に着いたのは、それから数分後だった。唐沢と書かれた表札の下のボタンを押した。

 玄関の格子戸が開き、唐沢礼子が顔を見せた。彼女は紫色のワンピースを着ていた。生地が薄いせいか、身体《からだ》の細さが際だち、痛々しいほどだった。この初老の婦人が和服に戻るのはいつなのだろうと正晴は思った。彼がはじめてこの家に来た三月頃には、彼女は濃い灰色の紬《つむぎ》を着ていたのだ。それが梅雨入りする少し前から洋服に変わっていた。

「すみません。先生」正晴の顔を見るなり礼子は申し訳なさそうにいった。「つい今しがた雪穂から連絡がありました。なんでも、文化祭の準備をどうしても抜けられなくて、三十分ほど遅れそうだということなんです。なるべく早く帰りなさいといってはおいたんですけど」

「ああ、そうだったんですか」正晴は、ほっとしていった。「それを聞いて安心しました。遅刻したと思って、焦《あせ》ってましたから」

「本当にすみません」礼子は頭を下げた。

「ええと、じゃあ僕はどうしていようかな」正晴は腕時計を見ながら、独り言のように呟《つぶや》いた。

「どうぞ、中でお待ちになってください。何か冷たい飲み物でもご用意しますから」

「そうですか。でもお気遣いなく」会釈を一つして、正晴は足を踏み入れた。

 彼が通されたのは、一階の居間だった。本来は和室であるが、籐《とう》製のリビングセットが置いてあったりして、洋風の使い方がなされている。彼がこの部屋に入るのは、最初に来た時以来のことだった。

 

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