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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(87) 情敌见面

时间:2011-12-30 14:58:44  来源:可可日语  作者:dodofly

  小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

七(8)

哲之は、陽子の息遣いの鎮まりを、耳をそばだてて聞いていた。陽子もそうしているみたいだった。陽子が唇を寄せて来た。唇を離してから、
「哲之のアホ!」
とまた言った。
「ほんとに怒ってるのか?」
「ほんとに怒ってるねんから……」
「俺はおりるのをやめた。その石浜いう男と決闘したる」
陽子が微笑んだ。母のような微笑みだった。陽子は時間を気にして、時計を見ようとしたが、哲之は強い力で組みしだいいて、再び自分をキンに変えようとした。

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石浜は、仕立て良い派手なブルーの背広を清潔に着こなし、ティーラウンジに入って来た陽子と哲之の姿を見るなり即座に椅子から立ちあがって、六つも歳下の哲之に丁寧に一礼した。悪びれたところもなく、といって哲之を見おろしているようなところもなかった。陽子に哲之を紹介されると、目刺入れから目刺を出し、
「初めまして。石浜徳郎です」
と言いながらそれを哲之に手渡した。あまりにも知的過ぎる顔立ちが、他の人間ならいや味とも取られかねない計算され尽くしたお洒落を、気障からはなやかな品の良さへと危(あや)うく転化させていた。背広と同色のまがい物ではない石の小さなタイピンも、揃いのカフスボタンも、哲之の月収の何十倍もする高価なものであった。
「石浜さんの身につけるものをぼくが手に入れようとしたら、食うや食わずでアルバイトをして、五、六年かかりそうですね」
と哲之は言った。石浜は表情を変えず、
「これも商売道具です。ちょっとでも泥臭いところを見せたら、お客さんはすぐに私の設計する建物の青写真を、勝手に頭の中で泥臭く想像してしまいますから」
と答えた。哲之は、石浜徳郎という男が、いかに自分に対して気を遣っているかを知った。たとえ何の裏のない微笑でも、こうした場合、相手をどう不快にさせるか判らない、という用心と心配りが、石浜の顔に一抹の怜悧さを装わせているらしかった。陽子はどちらの男の顔も見ず、運ばれて来たオレンジジュースに目を落としていた。
「アメリカへ行かれるそうですね。来年のいつごろですか?」
「まだはっきりと日は決まってませんが、遅くても二月の初旬までには向こうに着かないといけません」
「陽子をつれて行きたいんでしょう?」
「そうしたいと思ってます。でもまだ返事を聞いてません」
石浜は陽子には一瞥もくれず、哲之を見すえて言った。哲之は、まだ返事を聞いていないという石浜の言葉の響きの奥に、これだけはどうにも隠しようのない自信が、そのごく微量なかけらが、ぽろっと表出したのを感じ、この男を真っ裸にしてやろうと思い立った。
「ぼくは、陽子から石浜さんのことを聞いたとき、勝ち目はないなと思いました。片や新進の未来洋々たる建築デザイナーで、片や死んだ親父の借金に追い立てられて、ホテルのボーイのアルバイトをしている栄養失調(しっちょう)の学生です。自分でも鏡に映った顔を見て、何て貧相な男やろうと思うくらいです」
「いや、凄い目をしていらっしゃいますよ」

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