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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(167)

时间:2012-04-05 14:01:05  来源:可可日语  作者:dodofly

小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

十一(18)

女がかぼそい声で呼んだ。彼はそれに応じ返そうとして、口を開きかけたが、キンを隠さねばならぬと思った。ズボンのうしろのポケットからハンカチを出し、柱のヘリにつかまって上体を起こした。眩暈と吐き気に襲われた。哲之はハンカチを、キンの背に突き立っている釘にかけた。それと同時に、大きな音を立てて倒れた。
「どないかしはったんですか?井領さん」



ドアには鍵はかかっていなかった。哲之はドアの方に顔を向けた。隣室の女は、哲之の顔を見た途端、その場にしゃがみ込み、それから、かすれた長い悲鳴をあげた。ちょうど家を出たばかりの、近所に住む会社員が、オーバーコートを着たまま哲之の部屋に入って来た。同じ路地の一角に住んでいっても、一度も顔を合わせたことのない三十前後の男が三人、口々に哲之に訊いた。
「どうしたんや。強盗(ごうとう)か?」
「こら救急車を呼ばんとあかん」
「喧嘩でもしたんか?」
「目は見えるか?」
哲之は頷いて見せた。
「意識はあるんやな?」
哲之はもう一度頷いた。
彼らが血相を変え、慌てふためいたのは、哲之の顔の腫れのせいではなかった。哲之の鼻血がセーターの前面と敷き蒲団に赤黒い大きな円を作っていた、てっきり胸か腹かを刃物で刺されたものと思い込んだからであった。

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