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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(完结篇)

时间:2012-04-27 11:47:23  来源:可可日语  作者:dodofly

小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

十二(13)
木箱の中からは、何の物音も聞こえなかった。彼は石を取り除いて、キンが生きているか死んだのか、確かめてみたい衝動に駆けられたが、かろうじてそんな自分を抑えた。
「これは絶対に春の光や。キンちゃん、釘を抜いたから春が来たなァ」
彼はその日一日、心に浮かぶ言葉を、木箱の中のキンに向かって語りつづけた。何年か先、自分が母と別れ別れの生活を余儀なくれた時代を思い出すときがあっても、それはすべてキンという不思議な使者を透かして眺めた映像でしかないに違いなかろう。哲之は、まだ何も始まっていないのに気づいた。彼は酒を飲み、喋りつづけ、ときおり石と石との隙間を覗き込んだりして、あしたを待った。あした……。あした、陽子が、従兄の運転するトラックに乗ってやってくる。彼は、あしたを思うと不安になり、同時に、あしたを、心たかぶらせて待ち望んでいることが、真の至福ということなのだと考えたりした。

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その待ち望んでいた日の朝、彼は八時に目を醒ました。まぎれもない春光が、哲之の首筋や腋の下に汗を滲ませた。彼は木箱を持って、何度も道の曲がり角まで行った。トラックの助手(じょしゅ)席に坐っている陽子を、アパートの部屋ではなく、道に出て、手を振って迎えたかったのだった。そうしているうちに、哲之は、とうとう我慢しきれなくなって、木箱の石をひとつひとつ出していった。卵大の石もあれば、煉瓦のかけらもあった。
「キンちゃん、生きててくれよ」
哲之は胸をどきどきさせて、そう呟いた。哲之は石を全部取り除いた木箱に長いこと視線を投げしていた。ときおり、操り人形のように首をもたげ、春の光に満ちた空を見つめた。キンはいなかったのである。

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