日语能力考试一级阅读精选问题集(63)
たくさんの子供たちが、今年もお盆休みに旅をしたに違いない。祖父母の待つ田舎へ、海や山へ。目的地に向かう車内で、彼らの視線は一様に下へ。ゲーム機、携帯電話、コミックなどに向けられたままだ。車窓を流れる景色には、とんと関心を示さない。
飽かずに車窓にへばりついる子供を、近ごろめったにみかけなくなった。在来線(ざいらいせん)ではわずか8%だったトンネルの比率が、東海道新幹線では13%、上越新幹線では39%にもなり、行程の4割は闇を走る。しかも、町中では遮音壁(しゃおんへき)が線路を覆い、景色は見えない。映りの悪い車窓という小劇場を、子供たちは見限ったのだろうか。
たまに車窓に映る景色は、野立て看板に原色ののぼり……。かわりばえのしない、全国どこも似たような「注1」金太郎あめ。変化に富んで懐が深いはずの日本の風景が、車窓からは見えてこない。当然、刺激的に作られたゲームやコミックの画像に「注2」軍配は上がる。
出来合いのおぜん立てされた「美」と違って、現実の景観は雑多な要素が混在している。その「注3」カオスの中から、自分なりの価値をくみ取る感性は、風景の荒廃とともに薄れてゆく。風景への無関心は、他者への無関心につながる。「車窓にへばりつく子供」の減少は、無造作で殺風景な世の中前ぶれかもしれない。
(「春秋」2004年8月16日付日本経済新聞により)
「注1」金太郎あめ:どこを切っても同じ顔を出てくる長い棒状のあめ
「注2」軍配は上がる:勝つこと。相撲で行司(審判)が勝った方へ持っている軍配を上げる
「注3」カオス:混沌
問 筆者は「『車窓にへばりつく子供の減少』」の原因は何だと考えているか。
1 子供たちが他者に対して無関心だから
2 景観には雑多な景色が混在しているから
3 自分なりの価値をくみ取る感性がないから
4 風景がどこでも似たようなものだから
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