双语阅读:【青春小说连载】春の夢(34)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
二(14)
客は笑った。どうぞごゆっくりと言って、哲之は部屋を出た。誰もいないのを確かめてから、掌の中の硬貨(こうか)を数えた。四百円あった。哲之は嬉しくなった。五時から十時まで、何人の客を案内するか見当もつかなかったが、そのうち五人の客がチップをくれたら、二千円近くにはなるだろう。貧しい哲之には、このうえなくありがたい金だった。
十時まで、その日は二十組の客を案内した。チップをくれたらのは最初の客と、やくざっぽい男に連れられた最後の若い女だった。その男はかなり酔っていて、部屋に入るなりベッドに倒れこんだのだが、ルームサービスのダイアルやフロントのダイアルを女に説明していると、
「そんなこと教えてもらわいでもしってるわい。電話の横に書いてあるやないか」
と怒鳴り、
「もうええから、早よ出て行け」
そう言って靴の先で哲之の膝を蹴った。部屋を出て歩いて行くと、後ろから女が小走りで追って来て、
「ごめんね。あいつアホやねん。これ取っといて」
と千円札を握らせたのだった。女はどこかのバーのホステスみたいだったが、表情や体つきに少女のようなものがあった。
実際に仕事をしたのは、六時過ぎから十時までの四時間で、その間一度だけ磯貝が休憩を取らせてくれた。だがロッカールームに帰ってきた哲之の足は痛く、体中がぐったりして、口を利くのもおっくうになっていた。立ち仕事は疲れるとは聞いていたが、これほど疲れるとは思っていなかったので、哲之は服を着換えると、しばらくロッカールーの隅に置いてある椅子に坐り込んでいた。重い鉄の扉で閉ざされたロッカールームは深閑として、哲之は独房に込められているような錯覚に陥った。蜥蜴の色模様が心を過ぎった。もう死んだだろうか。哲之は立ち上がり、ロッカールームの明かりを消して、熱気に満ちた狭い通路をとぼとぼ歩いて行った。柱に釘にされた蜥蜴のいる部屋に帰って行く気にはなれなかった。けれども、あの蜥蜴はまだ生きていて、どうにかして自分の背中を貰いている太い釘から逃げれる術はないものかと考えているのではなかろうか。そんな思いが、ちらっと哲之の中に生じた。俺の帰りを待っているのではないか。釘を抜いてくれ、お願いだから、この釘を抜いてくれ。蜥蜴が叫んでいるような気がした。哲之はコンクリートの階段の昇り、従業員用の出入り口から表に出た。
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