双语阅读:【青春小说连载】春の夢(35)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
二(15)
ちょうどホテルの裏側にあたる場所で、調理場やランドリーの空気を送り出す排気孔がすぐ横にあった。哲之は息を止めた。きらびやかに装った人間の汚れた本質。幸福ぶった人たちが隠し持っている不幸。巨大なホテルの裏側から猛烈な勢いで音たてて噴き出ている悪臭が、哲之の頭に一瞬そんな言葉を思いつかせた。彼は大阪駅への道を、雑踏にもまれながら、とぼとぼと歩いた。早く死にやがれ。心の中で蜥蜴に向かって叫んだ。俺はお前が死ぬまで釘を抜きもしないし、ましてや殺したりもしないぞ。お前が死ぬまでじっと待つんだ。だから、あきらめてさっさとくたばりやがれ。
哲之は公衆電話のダイアルを廻した。ずっと電話のかかってくるのを待っていた、陽子のそんな弾んだ声が聞こえた。
「仕事、できそう?」
「簡単や。ホテルのボーイなんか……」
「初めてやから疲れたでしょう」
「アルバイトの一日目は、いつでも疲れるよ」
「お風呂に入って、ゆっくり寝たら、元気になるよ」
「きょうは中沢の部屋に泊めてもらう。もうあの片町線に乗って、それからまだ三十分も夜道を歩く元気はないねん」
陽子はしばらく黙っていたが、やがて、
「中沢の家に着いたら、また電話かけてね」
と言った。
中沢雅見は、本町のビジネス街のど真ん中に住んでいた。哲之とは高校時代からの付き合いだった。父親が貸しビル業を営んでいて、八階建ての中沢ビルというのを持っている。松屋町に中沢第一ビルがあり、そこに両親や兄弟が住み、本町の中沢第二ビルの八階の小さな一室に、中沢だけがひとりで住んでいるのだった。哲之とおない歳で、同じ大学にとっていたが、二浪したのでまだ三回生だった。中沢に電話をかけると、いつものように口数少なく、
「十五分したら、裏のドアをあけとくわ」
という返事が返ってきた。地下鉄のホームに立ったとき、また蜥蜴の声が聞こえた。釘を抜いてくれ、釘を抜いてくれと、蜥蜴は叫んでいた。
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