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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(50)

时间:2011-12-05 14:40:47  来源:可可日语  作者:dodofly

    小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

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四(8)

    眠りは浅く、哲之は夜中に何度も目を醒ました。鼻と上唇が疼いて、胸苦しくなるような不安が間断なく襲ってくるので、彼は目醒めるたびに煙草を喫った。何度目かのまどろみの際、哲之は夢を見た。自分が蜥蜴になって、草むらや石垣の間を這いずりまわっている夢であった。死んでは生まれ、死んでは生まれた。何度も何度も蜥蜴となって生死(せいし)を繰り返した。何十年、いや何百年もの時を蜥蜴として過ごし続けた。夢の中で、哲之はその長い年月の過ぎ行くさまを、はっきり感じていた。いつになったらこの果てしない時間が終わるのだろうと、田圃の畦道(あぜみち)で草の陰に隠れて、通り過ぎていく陽子や磯貝や、そのほか多くの見知った人間を見上げているとき再び目を醒めし時計を見ると、三時半で、ほんの四十分ほどしかまどろんでいなかったことに気づいた。いま自分は蜥蜴になって確かに何百年もの時を過ごしてきたと考えながら、哲之はうつぶせになり、また煙草に火をつけた。たった四十分しか眠っていなかったのかと思ったとき、哲之はふいに、ある陶然とした感情に包まれた。なぜそんな気持になったのか彼には判らなかったが、何か希望に似たものが、自分の全身を金縛りにしている大きな不安の一角から芽生えてきたように感じた。たった四十分の間に、自分は何百年もの長い時間を蜥蜴になって生き死にをつづけていた。なんという恐ろしい夢だったことだろう。だがその恐ろしい不思議な夢が、なぜにわかに自分の心をのびやかにさせたのであろうか。哲之は煙草の味をゆっくりと味わいながら物思いに浸っていた。煙草の苦味が、上唇の裏の深い傷に沁みた。夢は鮮やかに哲之の心に捺され、消えていかなかった。灼熱の太陽に背を焼かれていた感触も、草の露に染まり、四肢をふんばってその潤いに恍惚となっていた情景も、一羽のモズのくちばしにくわえられて空高く上っているときの恐怖心も思い出すことが出来た。飢えと乾きで死に、何か正体(しょうたい)の判らぬ生き物に食い殺されて死に、人間の子供たちに棒で打ち据えられて死んだ。何度も何度も死に、何度も何度も生まれた。空恐ろしいくらいの時間が間違いなく過ぎて行ったのだあった。だがそれはたった四十分の間のことにしか過ぎなかったのだ。その蜥蜴として何百年も生死を繰り返していた自分も、目醒めてこうやって煙草を吸っている自分も、同じ自分だという思いが、哲之の精神に虚ろでありながら、どこか明晰な部分をもたらしていた。

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