双语阅读:【青春小说连载】春の夢(66)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
五(9)
磯貝がその次の言葉を口から出したのは、哲之がゆっくりと缶ビールを飲み干してからだった。
「もしも、また生まれてきても、俺はやっぱり心臓の病気を持って生まれて来ると思う」
「なんでですか?」
「借金をかかえたまま眠っても、目が醒めたら借金がなくなってたなんてことはあらへん。それとおんなじことのような気がするねん。そやから、自殺したって、そんなこと無意味や。自殺のしがいがないって考え出してから、どうしてええか判らんようになってしもだ。おい、どうしたらええと思う?」
哲之は田圃に面した窓の網戸をあけ、闇の底の蛙の大群めがけてビールの空き缶を投げつけた。つかの間の静寂が、哲之のよるべない心を一層寂しくさせた。
「死んだら、それでおわりや。また生まれて来るなんて、そんなことある筈がないわ」
哲之は素早く網戸しめて言った。飛び込んできた蚊を両の掌で叩きつぶした。
「死んだら終わりやなんて証拠がどこにある。お前、死んだことあるのか?」
「俺はこの世のことしか覚えてない。生まれてくれる前に、別の人生をおくって来てたとしたら、そのときのことを、ちょっとぐらい思い出せる筈じゃないか。この世は一回きりで、前も後もあらへん。死んだら、それで何もかも終わりや」
「俺は、絶対、そんなふうには考えられへんのや」
哲之が立ったまま磯貝を見つめると、磯貝はひたむきな目を向けて、傍にあった本を投げつけてきた。哲之は驚いて、飛んできた本を受け止めた。
「俺が投げたから、その本は井領のところに跳んで行ったんや。本が勝手に飛んで行ったんやないで。結果の前には、必ずその原因があるんや。それが物理学の基本やろ。原因のない結果なんて、この宇宙にひとつとしてあるか?あったら教えてくれ。ライターにひとりでに火がつくか?種のないところに本が生えるか?釘が勝手に蜥蜴の背中を貫くか?この世のいっさいの出来事は原因があるから結果があるんや」
磯貝の言っていることがよく判らなくて、哲之は本を持ったまま、無言で磯貝の唇ばかり見つめていた。
「なんで人間は、生まれながらに差がついてるんや。それにも原因がある筈や。そしたら、生まれる前に、その原因を作ったとしか考えられへんやないか。そう考えるのが、一番理に適ってると思えへんか?ある人は金持の家に生まれる。ある人は貧乏な家に生まれる。ある人は五体満足で生まれる。ある人は不具で生まれる。あらゆる事柄に原因と結果があるのに、人間だけが、持って生まれたそんな差別に何の原因もないと考える方がおかしいやないか。人間は覚えてないだけで、この世以外の人生を、以前に確かに経験してる筈や。それで、いろんな借金をかかえて死んだんや。それから眠って目を醒ますみたい、また生まれてきた。そやけど、借金は消えてない……」
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