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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(116)

时间:2012-02-01 14:24:23  来源:可可日语  作者:dodofly

    小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

九(3)

「そら心配やなァ。きょうはアメリカと台湾人の団体が二組あるからほんまは困るんやけど、そんな事情やったらしょうがないわ」
 鶴田は実際困ったようだったが承知してくれた。それから、横に並んで立ったまま体を寄せ、
 「磯貝さん、来月から総務部に配置換えになるでェ」
 と言った。心臓の具合が悪く、一カ月近く休職していた磯貝を一度は見舞わなくてはと思いながらそのままになっていたので、哲之は鶴田に訊いた。
 「あの人、元気になったんですか?」
 「多少はましになったんやろなァ。そやけど総務の事務仕事に変わるということは、ページ?ボーイの仕事は無理やと会社の方が判断したんやろ」
 そうすると、この鶴田がボーイのチーフに昇格かと哲之と思った。
 「ほんまは勤務年数からいくと、あいつはまだチーフにはなられへんのやけど、出来るだけ力仕事をさせんようにという配慮で、チーフにさせてもらいよったんや」
 「ページ?ボーイの中で一番勤務年数の長い人は誰ですか?」
 「俺や」
 鶴田は、本来ならもうとうに自分がチーフになっているところを、体の弱い磯貝のために譲ったのだと言いたげな顔を向けた。
 「そやけど、磯貝さんの方が、鶴田さんより歳上でしょう?」
 「そやけどあいつは途中入社や」
 そして鶴田はにきびの跡の残る凸凹(でこぼこ)の肌を卑屈にゆがめて囁いた。
 「なァ、井領くん。俺と君とは歳がおんなじやねんから、もうこれからは、俺、お前、の間柄でいこうぜ」
 心配しなくとも、俺はこのホテルの正社員になり、いつかお前より上の立場に立っても、いじめ返したりはしないよ。哲之はそう胸の中で呟いた。
 「なんぼ歳が一緒にでも、先輩は先輩ですよ」
 と言った。鶴田は嬉しそうに笑みを浮かべ、哲之の肩を叩いて親愛のしるしを示した。
 七時半に、大型の観光バスが到着し、総勢(そうぜい)七十名のアメリカ人たちがホテルのロビーに群らがった。哲之は観光バスから、重い旅行鞄を降ろす作業をてぎわ良くこなした。最初の頃、外人の客、とりわけアメリカ人たちの荷物は重く、彼等が片碗でたやすく持ち上げる荷物を、哲之の両腕でさえ働かすことも出来なかったのだが、いまはコツを覚えたのと、多少腕力が増やしたのか、以前よりも敏速に片付けられるようになっていた。八時きっかりに、鶴田の方から時間を教えてくれた。哲之はロッカールームで服を着換え、大阪駅の北口へ向かった。阪急電車の改札口へつながる階段のところに立って、彼は百合子を持った。大きな数珠を首に巻いた初老の男が、何やらお経らしいものに奇妙な説をつけて踊っていた。立ち止まって見つめる人はほとんどいなかった。人々は一暼して、その目に憐みの色も驚きの色もあらわさずとおり過ぎて行った。
 「君は心優しきエゴイストなり」
 男は突然哲之を指差して叫んだ。さらに何か言いたげに近づいて来たので、哲之は聞こえなかったふりをして駅の構内に逃げた。振り向くと、男はあきらめて、また元の場所で踊り始めた。男に気づかれないよう、そっと戻って行った。信号を渡って来る百合子の姿が見えた。

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