双语阅读:【青春小说连载】春の夢(129)
提要:阳子领着哲之来到了对父母都保密的二层的房子。有浴室也有卫生间,被刷得很干净。在窗上挂着阳子缝的窗帘,在二层的六榻榻米房间还放着衣柜。
九(16)
「いま、どこ?」
「武庫之荘の駅」
五分もしないうちに、陽子の走ってくる姿が見えた。
「白旗をあげたって、どういうこと?」
陽子は息を弾ませて訊いた。
「ひとりで戦争をしとったんや」
「誰と?」
「自分と」
陽子は、両親にも内緒で借りた二階付きの家に哲之を伴った。風呂もトイレも、きれいに磨かれてあった。窓には陽子が逢ったカーテンが掛かり、小さな箪笥が二階の六畳に置かれていた。陽子はうしろからしがみつき、
「謝れ!」
と言った。
「何を?」
「あの夏のことをむし返したこと……」
「いやや」
「なんで?」
哲之は陽子を前に廻して抱いたまま畳の上に倒れ、
「あの夏名何週間かに起こったこと、全部、俺に説明してくれ」
と迫った。
「石浜とは何回逢うた?」
「二回か三回」
「たったの?」
陽子は頷いた。
「ほんまに、あいつとは何にもなかったんやな?」
陽子は突然烈しく首を振って哲之を押しのけ、部屋の隅まであとずさりして涙を薄く浮かべた。
「そんなことを訊く哲之なんか嫌いや」
「訊かれたくないことがあったからか?」
「アホ!」
「そしたら、ちゃんと俺が納得するように話をしてくれたらどうやねん」
「なんぼ言うても、なんぼ言うても、哲之はしつこいねんもん……」
「あいつとは、何もなかったんやな?」
「なかった!」
「その言い方が気に入れんねや。なんや邪魔臭いそうに。もうちょっと心をこめて言うたらどうやねん。陽子はこの件に関してだけは、思いやりがないんや」
「何にもありませんでした。手も握りませんでした」
哲之は四つん這いになって、あたかも子犬のように陽子の胸に顔をすりつけた。
「結婚してからも、何遍も責められそうな気がするわ」
陽子はそう呟きながら、哲之の唇を噛み始めた。
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