双语阅读:【青春小说连载】春の夢(130)
提要:过了1月3日,把一齐退房的客人的行李搬运完后,服务员各自回到自己的房子时,哲之被显露出等得不耐烦叼着烟的鹤田招手叫去。“中冈那个家伙,已经决定被解雇。”
十(1)
年が明けた。正月をホテルで過ごそうという家族が多く、正社員のボーイもアルバイトのボーイも、十二月三十日から正月の三ガ日まで仮寝室で寝泊りさせられ、満員の客でごったがえすグリルやコーヒーショップやバーやルームサービス係に急遽振り分けられ、いつもより長い勤務時間をこなした。
一月三日の昼過ぎ、一斉にチェック?アウトする客たちの荷物を運び終え、ページ?ボーイに割り当てられら部屋に帰って来ると、哲之は、いかにも持ちわびていた様子を露わにさせたくわえ煙草の鶴田に手招きされた。
「中岡のやつ、馘(くび)になることがきまったでェ」
鶴田は哲之にだけ聞こえるように、耳元で囁き、目をぎらつかせた。哲之は驚いて鶴田を見つめ、ボーイ服の袖を引っ張ると、厨房とランドリーに挟まれた通路のところまでつれて行き、
「喋ったんですか?内緒にしとくっていう約束やったでしょう」
と怒りを押さえつつ訊いた。地下の高級舶来品店から商品を盗んでいた犯人が、中岡ではなかろうかという推理は、あくまで哲之の個人的な推理だったから、鶴田に事情を説明した際、決して口外しないよう念を押しておいたのである
「そやけど、喋らんわけにはいかんやないか。お前はええよ。関係ないんやから。そやけど俺は、疑いをかけられてたんや。俺の潔白(けっぱく)を説明するためには、勤務表を調べ直してもらうしかなかったんや。お前の推理が見事に当たったんや。俺の名前は消えて、中岡の名前だけが残った。助かったよ。このままやったら、俺は疑いをかけられっぱなしで、社会を辞めなあかんはめになってた筈や。あの中岡のアホンダラ、ええ気味や」
確かに鶴田の言分けももっともだと思うのだが、哲之は自分が何かしら大きな罪を犯したような心持ちになり、通路の熱したコンクリート壁に凭れ込んだ。額に汗をにじませ、鶴田は言葉を続けた。
「中岡のやつ、最初は自信満々やったんや。人事部長と支配人に、徹夜で責められて、勤務表まで突きつけられても、平然としとったそうや。あいつにしたら、デブ派が助けてくれると思っとたんやろ」
社長の息子であるふたりの副社長は、兄の方が肥満体で、弟の方が身長でやせぎすだったので、陰で従業員たちはふたつの派閥を、デブ派、ノッポ派と呼んでいるのだった。
「ノッポ派は大芝居をうちよった。中岡がデブ派の連絡をつけられへん状態にしてる間に、デブの家に電話をかけた。かけたのはノッポがじきじきにや。中岡がデブに頼まれてやったということを白状したけど、それはほんまかと詰め寄ったそうや。兄貴がそんなことをする筈はないと思うけど、もしほんまやったら、ホテルの恥を覚悟のうえで、警察に本格的な捜査を依頼して徹底的に調べ上げるしかない。そない言うたらしいで。そしたらデブは、あっさりこう答えよった」
鶴田の額から幾筋もの汗が伝った。彼は手柄をあげた岡っ引き観たいな顔をして言った。
「そんな泥棒を置いとくわけにいかん。馘(くびき)にしょう。なんでこの俺が、自分のホテルに入ってる店の品物を社員に盗ませないかんのや。中岡は盗っ人のうえに頭まで狂うてるみたいやな、っちゅうてな。それで、中岡は一巻の終わりというわけや」
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