双语阅读:【青春小说连载】春の夢(148)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
十(19)
「安普請やから、あのおばさんが猫と話をしてる声が筒抜けや。ときどき化け猫みたいな声を張りあげて、猫とケンカしたりしよる」
そう哲之が声を忍ばせて言うと、磯貝はふいに身を起こし、
「猫や」
と呟いた。
「猫……?」
「猫を使うんや」
「どうやって」
「この柱に、お前は魚の干物を吊るしといた。うっかり窓をあけたまま外出した。夜中に帰って来て、真っ暗闇の中で猫が飛び掛って来た。お前はびっくりして、隣の猫とは知らずに、身を守るためにたまたま傍にあった包丁を振り廻した。猫もびっくりして何遍も飛びかかって来た。包丁は柱に当たって傷だらけにして一部を削り取ってしもたっちゅうのはどうや」
「いまひとつやなァ。猫が大家の飼うてるやつやったら、相手も文句は言わんやろけど、隣のおばさんの猫やで。大家とは関係あらへん。どっちかに弁償さすやろ」
「大家は猫を飼うてないのか」
「飼うてない。一銭たりとも無駄金は使わんおばはんや。犬や猫にただめしを食わしたりするかいな」
磯貝は背を向けて横たわり、
「もう疲れた。頭が痛うなってきた」
と言って溜息をついた。
「やっぱり釘を抜くしかないよ。それで死んでも、キンちゃんはその方が嬉しいやろ。こんなむごい生かされ方はないもんな」
磯貝の言葉は、自分の心代弁しているのようだった。
「あしたになったら、気が変わってるてなことはないやろな。やっぱり手術はいややっちゅうて……」
と哲之は言った。
「手術はいやや。当たり前やないか。そやけど。もう決めた。決心するのに五年かかったんや」
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