双语阅读:【青春小说连载】春の夢(153)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
十一(4)
確かに哲之は、そう言う意味も含めて言ったのだった。けれども哲之はわざととぼけて笑ってみせた。
「決別する相手に恩返しをする必要はないやろ。そんなにひがみっぽく取るなよ」
「ひがみっぽく……?俺が何でお前にひがまなあかんねん。アホなこと言うな」
中沢も笑い顔でそう言ったが、誇りを傷つけられたとき必ず彼の唇の端に生じるえくぼに似た皺が、金魚の口みたいに拡がったりせばまったりした。歎異抄に関する議論は、中沢の内部に、想像以上の怒りとこだわりを与えたのだろうと哲之は推測した。自分の信奉(しんぽう)する思想、とりわけ宗教を全否定されることへの怒りは、おそらく否定された当の本人でさえ理解出来ないほど大きく深いのかもしれない。そう哲之は思った。しかし哲之は再び議論をむしかえす気はなかった。それで、哲之は、中沢が大学卒業したら、そのまま父の事業を継ぐのか、それともいったん別の会社に就職するのかを訊こうとして口を開きかけた。ところが先に中沢の口から言葉が吐き出された。
「お前の親鸞不存在説は、相変わらず変節してないか?」
哲之は珈琲をすすってから、
「もうあの話はやめようや。あのときの俺の精神状態はちょっと正常やなかったからな。他人がどんな宗教を信じようが、それはその人の自由や。俺はお前を否定したわけと違うよ」
そう穏やかに答え返した。
「答えになっていないな。親鸞不存在説のことを訊いてるんや」
「実在したかどうかなんてどうでもええよ。お前がおったと思うんなら、おったんやろ」
「俺がどう思うかという問題と違う。親鸞は実在したんや。証拠は出ほどある。歴史の事実や」
「よし、判った。そう言うことにしとこう」
「それは認めたわけとは違う。ちゃんと認めてもらいたいなァ」
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