双语阅读:【青春小说连载】春の夢(174)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
十二(1)
母には、二、三人の知らぬ酔っぱらいに絡まれて殴られたことにしようと決め、哲之は陽子に口裏を合わせてくれるよう頼んだ。翌日の昼過ぎに、陽子から知らせを受けた母が、三日間の休暇を貰ってやって来た。
「ようも、こんだけ、ひどいめにあわせられるもんや。人間やあらへん」
嘘のいきさつを聞き終えると、表情ひとつ変えず、母は言った。哲之は、こんな場合、母はいつも泣く女だった筈なのに、と思った。
「どんなことでも、時間というもんが大きな役目をするんやなァ……」
そう呟いて、母は病室の窓から遠くを見つめ、あとは、陽子が買って来たオレンジの皮をむきつづけた。この約一年間、哲之と母とのふたりだけの時間はかぞえるほどしかなかった。哲之は磯貝の精密検査の結果が気になって仕方なかった。彼は陽子に、磯貝の入院している病院に行って、検査の結果を聞いてくるよう頼んであった。
「まだ結果は、出ないって……。いろんな検査はこれからで、手術をすると決まっても、一カ月ぐらい先になるそうよ」
と陽子は伝えた。電話の置いてある看護婦詰所から帰って来ると、母が、アパートの部屋の鍵はどこかと訊いた。蒲団の血を洗わなければいけないし、着換えも必要だから。それに、お前がこの一年間どんなアパートに住んでいたのか見ておきたいから、と母は言った。鍵は大家が預かっていた。しかし、哲之はさもうっかりしていたという表情を作り、
「陽子に渡したままや。あいつも、自分がハンドバッグに入れたこと、忘れてるのと違うかな」
と言った。
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