双语阅读:【青春小说连载】春の夢(178)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
十二(5)
腫れが完全にひいてから、折れて曲がった鼻骨の整形手術をしようと医者は言ったが、哲之は退院してアパートに帰っても、それきり病院へは行かなかった。そんなものはいつでも出来る。それよりも先にやらなくてはならないことがある。哲之は、三月の半ばになっても、いっこうに温かくならないのがもどかしくて、桜の木が目につくたびに、蕾の腫れ具合を確かめた。大家との約束の期日が迫っていた。彼はふと「啓蟄」という言葉があったことを思い出し、辞典を開いた。(蟄虫、すなわち冬ごもりの虫がはい出る意。二十四気の一。太陽の黄経が三百四十五度の時で、陰暦二月の節。太陽暦の三月六日前後)と説明されたあった。
哲之は、石油ストーブを柱に近づけ、キンの目醒めを早めようと試みたり、いや、自然に逆らうことは、かえってキンを弱らせる結果になると思い直して、自分の寒さをこらえ、ストーブに火をつけず、一日を過ごしたりした。「啓蟄」という時は、もう一週間も前に過ぎたことになる。春の兆しは見えないけれど、それは人間の目に見えないだけで、虫も他の動物も人間も、ある律動を開始したのに違いない。そう思って立ち上がりかけ、そのたびに哲之は、両膝のあいだに顔を埋めて、キンから目をそむけた。
一通の航空便が届いた。ラング夫妻からであった。どうやって、自分の住所を調べたのかと思いながら、哲之は封を切った。手紙は二枚で、一枚はラング氏がドイツ語で打ったものだった。もう一枚は、それを日本語に訳した手書きの細かい文字が並んでいた。
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