日本语能力测试一级読解の練習(二十一)
日本语能力测试一级読解の練習
1级読解の練習(21)
私は、この頃、ほんの少しだけ、齢をとったような気がしている。①いろいろなことの感じ方が、今までとは違うのである。なかでも違うのは、齢をとる、という自然な変化を、楽しめるようになってきたことだ。時間というものが、温泉の湯のように、体を心地よく、じわりとしみわたってくる。時間に追われる生活は相変わらずなのだが、もっと大きな視野で考えるとき、これまでの無駄に過ごしてきたと思われる時間(年月)が、近頃になって、②全部自分の体のなかへ舞い戻ってきている感じがする。
ひとの、ことに自分よりも年長の人々の、暮らし方や、齢のとり方に、興味を抱くようになってきたのも、最近の現象である。齢をたくさんとっている人は、今のところ、誰を見ても、大変面白い。
若い人のことは、もうつまらなくなってしまった。横暴ともいえる、せっかちで自分本位な論理や感情は、底が浅くて、すぐ飽きてしまう。彼らがちっとも面白がっていないように見えるせいかもしれない。この頃、私は、若い人のことは無視することにしている。
③これは多分、私が、齢をとったと実感し、これからも着々と齢をとり続けていくことを、了解したところからくる、自然現象的な嗜好の変化なのではないだろうか。
私は、というより私の体は、生まれて四十年近く使用されて、多少古びてはきたが、世の中に住むことに慣れ、こなれて柔軟になり、適応性も強化されたのだろう。
私は、自分のことに関する限り、決定権も判断力も、身に備わった、という自信が、このところ急に生じてきたような気がする。体が先に実感し、意識がようやく遅れて追いついた、というところか。
④ごく若いうちは、この関係が反対だった。意識の方が、せかせかと先回りばかりしたがって、体は発育不全のまま、という印象が強かったように思う。
(中略)
もうひとつ、ついでにいえば、⑤若い衆、激しいものとのつきあい方のことがある。自分のペースに合わない諸々の現象を、こちらの都合でうまくやり過ごしたり、触れたりしながら、身をよけるスリルを楽しんでいる。身ごなしがうまくいかなければ、巻きこまれたり弾き飛ばされたりして、こちらがケガをする可能性もあるが、案外、突風や地震の通る道筋はパターン化されていて、時間も規模も予想がつかなくもない。予想が外れたり当たったりするのも、楽しみのひとつである。
消極的、受動的、保守的、といわれそうだけど、( ⑥ )。不必要なところは省エネにして、節約した分を、溜めておき、使うときにはたっぷり使いたい口である。独断と偏見でいえば、人間個人にもエネルギー不変の法則は成りたつはずなのである。今までさんざん空回りの使い方をしてきたのだから、これからはせいぜい気ままに、効率よく、自分の楽しみのために、使おう、と決めている。 (増田みず子『シングル・ノート』による)
(注1)舞い戻る:元のところへ帰ってくる
(注2)横暴:かってきままで暴力的なこと
(注3)こなれる:すっかり身について自在にできる
(注4)若い衆:若い人たち
(注5)独断:かってに一人で決めること
(注6)空回り:活動はしているが効果がないこと
問1 ①「いろいろなことの感じ方が、今までとは違うのである」とあるが、ここではどう違ってきているのか。
1 自然の日々の変化を楽しんでいる。
2 生活の時間に余裕がでてきた。
3 時間の無駄がなくなってきた。
4 齢をとるということを肯定的に感じている。
問2 ②「全部自分の体のなかへ舞い戻ってきている感じがする」とあるが、どういうことか。
1 若い頃にきたえた体力が今、役立っている。
2 若い頃のできごとが、思い出になっている。
3 若い頃の経験が今の自分を作っている。
4 若い頃の貯金で生活ができる。
問3 ③「これ」とあるが、何を指しているか。
1 若い人をつまらなく思い、年長者に興味を抱くこと
2 若い人が自分本位の論理や感情に飽きてしまうこと
3 時間が温泉の湯のように心地よいこと
4 若い人と年長者とを比較して考えること
問4 筆者の④「ごく若いうち」はどうだったか。
1 体がやせ細り発育不全だった。
2 判断力にすぐれ、自信にあふれていた。
3 体が実感する前に気持ちだけが先行した。
4 心も体のバランスがとれていた。
問5 ⑤「若い衆、激しいものとのつきあい方」とあるが、現在筆者は若者とどのようにつきあっているか。
1 若い衆の都合に合わせてつきあっている。
2 気ままに自分のペースでつきあっている。
3 ケガをしてもいいから積極的につきあっている。
4 面白くないので、できるだけつきあわない。
問6 ( ⑥ )に何が入るか。
1 私はそれを残念だと思っている。
2 私はそれを変えていこうと思っている。
3 私はそれをいいとは思っていない。
4 私はそれを悪口だとは思っていない。
問7 筆者がこの文章で最も言いたいのはどのようなことか。
1 齢をとると判断力も適応力も身に備わってくるので充実した時が楽しめる。
2 若いときは論理的な思考が大切であるが、年長者は柔軟な思考が人切である。
3 年長者は節約してためておいたエネルギーを若者とのつきあいに使うのがよい。
4 自分の人生を年齢に関係なく気ままに効率よく生きるのが心地よいものだ。
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