1级読解の練習02
1级読解の練習(2)
「わかるべきこととはいかなることか」を知るのは、「至るべきゴールの認識」である。それがわかれば、後は努カだけである。それがわかれば、一日でもできる。一日でできなければ二日、二日でだめなら三日。三日でも四日でも、「至るべきゴール」がどのようなものかを、明確かつ具体的に把握してしまえば、努力の結果は「達成」へと至る。しかし逆に、 (① )努カをしようとも、「自分のなすべきことがどのようなことで、そのために自分のわかるべきことはどのようなことか」を理解していない人は、自分の努力を空回りさせるだけになる。「努力を空回りさせたくない」と思う人間だけが、「わからない」の掘り起こしをするのである。
「( ② )」を口にしたくない人間は、見栄っ張りの体裁屋である。「他人がやり、自分もやらなければいけないことなら、そんなにむずかしいことではないのだろう」と勘違いしてしまう。だから、「わからない」を探さない。それを探すのは「できない自分」を探すことになって、「できる」とは反対方向へ進むことだと考えてしまう。しかし、「できる」とは「できないの克服」なのである。「克服すべきこと」の数と内実を明確に知った方が、よりよい達成は訪れ--その達成までの時間は、ある程度以上必要ではあろうけれど。
しかし、「わからない」を探さずに、「わかる」ばかりを探したがる人に、その達成は訪れない。自分が「わかる」と思うことだけを適当に拾い集めて、いかにも「それらしい」と思えるものを作り上げる--つまりその達成は、「似て非なるものへ至る達成」なのだ。
「わかる」とは、自分の外側にあるものを、自分の基準に合わせて、もう一度自分オリジナルな再構成をすることである。普通の場合、「わかる」の数は「わからない」の数よりもずっと少ない。だから「暗記」という促成ノウハウも生まれる。数少ない「わかる」で再構成をする方が、数多い「わからない」を掻き集めて再構成するよりもずっと手っ取り早いからである。手っ取り早くできて、しかし③その達成は低い--あるいは、達成へ至らない。「急がば回れ」というのは、いかにも事の本質を衝いた言葉で、「効率のよさ」と「効率の悪さ」は、実のところイコールであるようなものなのである。
(橋本治『「わからない」という方法』集英社新書による)
(注1)空周り:考えや行動が進展しないこと (注2)見栄っ張り:外見上を飾る人
(注3)体裁屋:他人の目を気にする人 (注4)テキトー:適当
(注5)ノウハウ:know-how
【問1】( ① )に入ることばはどれか。
1 いかに 2 さらに 3 ことに 4 まれに
【問2】( ② )に入ることばはどれか。
1 わかる 2 わからない 3 できる 4 できない
【問3】下線③「その達成」とは何か。
1 「わかる」で再構成したもののこと。 2 「わからない」で再構成したもののこと。
3 「暗記」で促成したもののこと。 4 「似て非なるものへ至る達成」のこと。
【問4】文の内容と合うのはどれか。
1 「できない自分」を探すことは「できる」とは反対方向へ進むことだ。
2 「わからない」は「わかるべきことは何か」を認識するためのものだ。
3 「効率の悪さ」とは「至るべきゴール」が認識できないことだ。
4 「効率のよさ」とは「わかる」ことを適当に拾い集めることだ
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