日语能力考试一级阅读精选问题集(25)
「正しい日本語」「美しい日本語」といったものを学びたいという人が近年急激に増えています。いわゆる「日本語ブーム」です。日本語そのものへの関心の高まりは以前にも何度かありましたが、このところのブームはそれとやや性格を異にし、実用的面での関心の高まりに特徴があるように思われます。
就職難の時代、日本語能力を「資格」として身に付けようとする姿も見え隠れしますが、そのような志向の背景に、「標準日本語」を唯一の規範として日本語ピラミッドの頂点に据えるような意識が潜在して、その立場から生活日本語を糾弾するような動きがあるとすれば問題です。行きたい言語としての生活日本語は、単一的視点から、決めつけられる価値や美醜(びしゅう)とはかかわりなく、社会のなかで接触混交を繰り返し、ダイナミックに変転し続ける存在です。
生きたい言語、特に地域語の復権の動きが最近目立ってきました。日本語のことはさておき、たとえば、クイーンズイングリッシュの本場、英国でもこのところ“back to local”(地域語回帰)現象が進行しているようです。日経新聞の最近のクラムによれば、英国サッカー界最大のスター、ベッカム選手は出身地のイングランド南部、エセックスの訛り(なまり)を売り物にしているといいます。そして、このように地方出身の有名タレントなどが堂々と方言で話す機会が増えるが増えるにつれ、昔ながらの気取った標準英語より、出身地の方言で話す方がクールで自己主張ができるという考えが若者の間に広まっているともいいます。
世界的言語の多様性を大切にしようという機運があります。そういうグローバルな流れのなかに現在の方言に起こっている状況、つまり方言を見直そう、大切にしようという動きも組み込まれているのだと思います。歴史的には、ベルリンの壁の崩壊、そして1990年代に入ってからのソビエト連邦の崩壊といった時代の変化があります。そのあたりから世界の言語学界の少数言語、“endangered language”(消滅の危機に瀕「ひん」した言語)研究の重要性が特に主張されるようになりました。多様性のなかでこそエネルギーが生まれるのだという思潮です。
現代は「個」の時代、個人個人が自己実現を追求する時代です。個人であれば当然多様性が出てきます。ことばの多様性の見直しも、そういう流れのなかで必然的に出てきているのです。
(真田信治「解説『臨床ことば学』への期待」道浦俊彦『「ことばの雑学」放送局』
PHP文庫による
問い 本文の内容と合っているものはどれか
1. 就職難の時代には、実用的で、できるだけ正しく美しい日本語学ぶべきだ
2. 方言を話すことはすばらしいことなので、みんなは方言を話したほうがいい
3. ことばは使われていくうちに変化してしまうので、標準を作らなければならない
4. 多様性の時代である今、いろいろなことばの存在を認め合えるようになってきた
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