京都语-名詞と代名詞
京都语-名詞と代名詞
目次
1-1-1 名詞
1-1-1-1 京都には1拍語がない
1-1-1-2 助詞省略
1-1-2 代名詞
1-1-2-1 指示代名詞
1-1-2-2 人称代名詞
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1-1-1 名詞
1-1-1-1 京都には1拍語がない
「絵」「木」「手」「名」などの1拍語は語尾を引いて、「絵ぇ○●」「木ぃ○●」「手ぇ○●」「名ぁ●○」とあたかも2拍語であるかのように発音されます。
この発音傾向は助詞がついたときも「手ぇが痛い」「絵ぇを描く」などのように現れるため、京都には事実上1拍名詞がないということになります。
1-1-1-2 助詞省略
京ことばには、「が」「は」「を」「と」「へ」などの助詞を省く傾向があります。
助詞省略の例文(括弧内が省かれる助詞)
「誰か、買い物(を)頼まれてくれへん?」
「私(が)行こか? 何(を)買うてくんの?」
「急に電池(が)切れてなあ。ちょっと○○(へ)行ってきてほしいんや」
「え~っ、あのお店(は)遠いわー。近所で売ってるとこ(は)ないの?」
「ないこと(は)ないけど、○○の方が安いにゃわ」
「そうかなー、ある(と)思うけどなー」
「まぁあんたが安い(と)思うお店で買うてきて。はいお金」
「いらんこと(を)言うんやなかった……ほないてきます」
「はい。おはようおかえり」
この傾向はそれほど古くからあるものではなく、幕末~明治時代以降の傾向だといわれています。
今日では文脈が曖昧にならぬ限り、日常会話においてこの手の助詞は省くのが原則と考えた方が良いでしょう。
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1-1-2 代名詞
1-1-2-1 指示代名詞
いわゆる「こそあど」体系です。
表1 指示代名詞 近称 中称 遠称 不定称
指示 これ
●● それ
●● あれ
●○ 1 かれ
●○ どれ
●● だれ
●●
場所 ここ
○● そこ
○● あこ
○●
あそこ
○●● どこ
●●
方向 こちら
○●●
こっち
○●● そちら
○●●
そっち
○●● あちら
○●●
あっち
○●● どちら
○●●
どっち
○●●
形容 この
●● その
●● あの
●● どの
●●
様態 こう
●● そう
●● ああ
●● どう
●●
こんな
●●● そんな
●●● あんな
●●● どんな
●●●
こない
●●● そない
●●● あない
●●● どない
●●●
1 「これ●●」「それ●●」に引きずられて●●となることも。
共通語と異なる特徴として、場所の遠称に「あこ」という表現があります。
また中称「そ-」の系列には、語頭子音[s]が[h]に転じた「そんな→ほんな」「それなら→ほれなら」という言い方もあります(参照⇒京ことばの音韻・「サ行」→「ハ行」)。
なお一応上の表には入れてありますが、「こない‐そない‐あない‐どない」の系列は大阪弁だとする考え方もあります。
1-1-2-2 人称代名詞
1人称には、
通性用
わたくし ●●●●
わたし ●●●
男性用
僕 ●○・○●
俺 ●●
ワシ ○●
女性用
あたし ○●●
うち ●○
などがあります。「ワシ」は若年層でも使うことがあります。
他にも「あたし」の変化形「あて」や、特殊階級の中でのみ用いられる人称代名詞などがありますが、今日ではあまり一般的ではありませんので、ここでは割愛します。
2人称には、
あなた ●○○
あんた ●○○・○●●
きみ ●●
おまえ ○●●
きさま ●●●
われ ○●
おのれ ●●●
おんどれ ●●●●
などがあり、この順で品格が下がります。
「おまえ」という言葉には東京語ほどぞんざいな印象はありません。男性が同輩以下の親しい相手を呼ぶ場合は、たいていこれです。
3人称には、
あの方 ●●●○
あちら ○●●
あの人 ●●●○
あいつ ○●●
彼(男性のみ) ●○
彼女(女性のみ) ●○○
などがあります。
もっとも京都でも共通語同様に、名前が分かる人のことを話題にする時はその人の名前を直接呼ぶのが普通で、2人称・3人称代名詞の使用は避けられる傾向にあります。
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