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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(41)

时间:2011-11-29 13:27:52  来源:可可日语  作者:dodofly

 小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

三(6)

  眩しい朝日に顔を照らされて、哲之が目を開けたのは十時少し過ぎた頃だった。光は部屋いっぱいに満ちて、蜥蜴をも照らしていた。哲之は蒲団の中で、煙草を吸い、うつぶせになって枕に耳を押しあて、陽子のやって来るのを待った。彼は蒲団の中でパジャマを脱ぎ、下着も取ると、素っ裸になった。哲之の心には、あの陽子の弾力に富んだ裸身のことしかなく、陽子が部屋に入って来たら、物も言わず蒲団に引っ張り込んで、最後までひとことも口を聞かず乱暴に目的を果たしてやろうと思った。陽子はどんなふうに、そんな自分を迎え入れるだろうか。部屋に満ちている春の光が、哲之には自分の欲情の照り返しのように思われた。彼は、あっと叫んで素っ裸(すっぱだか)のまま起き上がった。蜥蜴をそのままにしておくわけにはいかないということに気づいたのだった。陽子は、釘づけにされた蜥蜴を見たらきっと驚くだろうし、その理由を訊くにきまっている。なぜ釘を抜いて逃がしてやらないのか。そう質問されたら、どう答えたらいいのか、哲之には判らなかった。気味が悪いので、死ぬのを待っているのだと言えばよさそうなものだったが、そう答えてしまうだけでは片づかない何物かが、自分の中に潜んでいるような気がしたのである。彼は小皿の底の穴に釘の頭を通して蜥蜴を覆い、その上からテニス帽をかぶせた。部屋の鍵を開け、裸のまま顔を洗い歯を磨いた。階段をのぼってくる足音が聞こえた。哲之は慌ててオルで顔を拭くと、蒲団の中にすっぽりともぐり込み、じっとしていた。ドアがあき、鍵をかける音がした。陽子はいったん台所に行って何か置いてから蒲団の横に坐った。
  「もうじき十一時よ」
  哲之は黙っていた。陽子がそっと蒲団をめくったと同時に腕をつかんで引きずり寄せ、力まかせに蒲団の中に連れ込んだ。
  「やっぱり狸寝入り」
  哲之は陽子を組みしだくと、素っ裸であることを教えるために、陽子の手を自分の下半身に導いた。陽子は白いブラウスにオレンジ色のカーディガンを着て、黄色のスカートを穿いていた。陽子の身につけているものを全部取り去ってしまうまで、随分時間がかかった。それがすむと、哲之は優しく陽子を抱いた。
  二時間近く、ふたりは蒲団の中にいた。
  「腹が減った」
  それが哲之の口から出た初めての言葉だった。陽子は哲之の首に両腕を廻し、微笑みながら、「朝早ように起きて、サンドウィッチを作ってきたの。お母ちゃんには、友だちとピクニックに行くて嘘をついたのよ」
  と言った。それから、哲之の唇に自分の唇を推し当ててから聞こえるか聞こえないかの小さな声で言った。
  「わざと口をきけんかったんでしょう」
  「うん」
  「なんで?」
  「陽子が怒るかどうか試しみたんや」
  「嘘や……。怒れへんこと、判ってるくせに」
  確かに嘘であった。哲之は陽子を、あたかも犯すように扱ってみたかったのである。
  「そしたら、なんでやと思う?」
  陽子は口紅の取れしまった唇を哲之の鼻の頭に這わせると、
  「それけど、私、楽しかったよ」
  そう言って顔を赤らめた。
  「週にいっぺん、こうやって俺のアパートに来る?」
  陽子は頷いて、向こうを向いていてくれと囁いた。哲之は陽子に背を向けて寝そべると、柱にかかっているテニス帽を見やった。ときおりそっと首を廻して、下着を着けている陽子の姿態を盗み見た。うなだれて下着を穿いている陽子の、首から肩にかけての線には、やはり悲しげで退廃的なものがあった。
  「誰にも見られていないのに、なんでそんなに恥ずかしそうに服を着るんや?」
哲之が訊くと、
  「自分に恥ずかしいの」
  という陽子の言葉が返ってきた。そしてすぐに枕を頭にぶつけられた。
  「やっぱり見てたんやないの」
  「ちょっとだけや」
  「私、下着を穿いてるのを見られるのが一番恥ずかしいのに」
  陽子の作ったサンドウィッチを食べると、哲之はアルバイト先で起こった幾つかの出来事を話して聞かせた。喉のあたりまで、蜥蜴のことが出かかるのだが、哲之は結局最後まで黙っていた。
  哲之は以前と同じように、陽子を送って大阪駅まで出た。住道駅まででいいと陽子と言ったが、哲之は何となく別れがたかった。阪急電車のホームにつづく地下道の中の喫茶店に入ると、二人はまたそれから二時間近く話しをしていた。話が途切れると、黙って見つめ合い、どちらかが口火を切るまで、お互い微笑見合いながら待っていた。
  「きりがないね」
  と陽子が言った。
  哲之は改札口を通って、神戸(こうべ)線のホームへのエスカレーターをのぼって行く陽子を見送り、近くの大きな本屋に入った。「自然科学」と示された本棚の前に立って、蜥蜴に関する本を捜した。「日本爬虫類図鑑」を手に取ってページをくってみたが、幾つ種類かの爬虫類の写真が載っているだけで、知りたい事柄は記されていなかった。何冊かの本を漁っているうちに、哲之はやっと目的の物を見つけた。「日本の爬虫類」という本で、終わりの方に「トカゲの飼い方」の項があった。思っていたよりも高い本だったが、哲之がそれを買った。

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