您现在的位置:首页 > 双语阅读 > 小说与诗集 > 春之梦 > 正文

双语阅读:【青春小说连载】春の夢(42)

时间:2011-11-29 13:27:50  来源:可可日语  作者:dodofly

 小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

三(7)

  日曜日の夜だったが、平日(へいじつ)よりも人の数は多く、駅のコンコースもホームも人間で溢れていた。京橋駅に着くと時計を見て階段を走り降りたが、電車はやってこなかった。平日と休日では列車のダイヤが違うのだった。哲之は三十分以上もベンチに坐って電車を待った。陽子のことばかり考えた。あんなに優しく美しい娘が、自分のことを愛してくれている。その思いは彼の痩せた胸を熱く膨らませた。陽子のためにも、母のためにも、そして自分のためにも、俺は絶対に就職を決めて、大学を卒業してしまわなければならぬと思った。
  哲之は、遅い速度で進んで行く片町線の古びた電車の座席に坐って、本の包装紙を解き、「トカゲの飼い方」の項を読んだ。
  ーートカゲを飼うのには、小さな(三十センチぐらい)木の箱で間に合うが、もっともよいのは魚を飼うのに使う水槽である。ふたは金網で作ったほうがよい。箱の中に少し湿った土を敷いて、その上に板や木の皮の切れ端を置く。土を固めないように気をつける。トカゲは土の中にもぐったりするのが好きだからである。水入れとしては、低く浅い皿がよい。トカゲはこれを見つけると、皿の縁に前足をかけて、犬のように舌で水を舐める。いつも皿の縁まで水を入れておく必要がある。
  えさとしては、サシやクリムシがもっともいいのである。これは釣道具屋で買える。そのほかに、クモ、コオロギ、ハエ、小さなアリなどもさえになる。個体によってミミズを食べるものもいる。いっぺんに食べるだけをやれば、夏の間は二日に一度、冬には七日に一度で充分である。トカゲは太陽の光も必要であるから、朝、あるいは夕方の光線が、箱の中の半分くらいを照らすようなところに箱を置くとよい。日のカンカン照る所に置けば、ガラス張りの箱の中は猛烈に熱くなるから、トカゲはすぐに死ぬ。朝夕の光を浴びせても、いつも少しは日陰があるようにしなければならない。そうすれば、トカゲは自分で日を浴びたり、陰に隠れたりして、体温を調節するのである。こうして世話をしてやれば、飼い主にたっぷり満足感を与えてくれるような、丈夫で活発なトカゲを飼うことが出来るであろうーー。
  その項の最後には、室内で飼育する際の注意点も書いてあった。赤外線ランプをすえつけて、日光の代わりをさせるのだという。これがないと餌の食べ方が悪くなるとあった。
  「室内で、柱に釘づけにされてるトカゲは、そうしたらええんや」
  と哲之は心の中で呟いた。そして、なんと自分は本気であの蜥蜴を飼うつもりなのだと気づいた。彼は本のページをめくり、何匹かの蜥蜴の写真に見入った。「若いトカゲには背に三本の金の筋がある」と書かれている箇所に目をやって、本を閉じた。哲之は、やっぱり殺してしまおうと思った。カナヅチで、こつんと頭をたたいたら、それで終わりだ。簡単なことではないか。
  電車から降りて、夜道を急ぎながら、気がつかずにしたことだとはいえ、本当に可哀そうなめに逢わせてしまったと思った。そして、太い釘を打たれ、飲まず食わずで放置されて、よくも何日も生きてきたものだと思った。よっぽど生命力の強いやつなのだろう。哲之はふいに立ち止まった。アパートの自分の部屋に入るのが恐れしく感じられたのである。蜥蜴だけでなく、あの釘までが、何やら得体の知れぬ生き物のような気がしたのだった。

上一页 [1] [2] 下一页

相关阅读

文章总排行

本月文章排行

无觅相关文章插件,快速提升流量