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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(65)

时间:2011-12-15 13:34:46  来源:可可日语  作者:dodofly

小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

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五(8)

  「凄いなァ……」
  磯貝は聞こえるか聞こえないかの声で言った。そしてキンのシッポのあたりの柱の黒ずみを指差して、
  「これは何や?」
  と訊いた。
  「糞です。毎日ちゃんと拭き取ってるんやけど、柱にそのシミが出来てしもて、いつか家主に文句を言われるやろなァと思てるんです」
  「俺の手ェからでも、餌を食べるやろか?」
  「さあ……」
  磯貝は口には出したが、自分の手でキンに餌を与えてみようとはしなかった。彼はそれきり口を閉ざし、そっと手を伸ばした。そして、キンの背に突き立っている釘の先端を指でつまんだ。キンが手足をばたつかせた。けれども磯貝はいつまでも釘の先端をつかまんだまま離そうとはしなかった。にわかに蛙の鳴き声が響き始めた。それは不気味で醜悪な音のかたまりで、哲之の耳には、なんとなく、不幸の始まりを告げる奇怪(きかい)な生き物たちの呪文のように聞こえた。磯貝は釘を働かそうとした。哲之は慌ててあの手の働きを制した。磯貝はやっとキンから視線を外し、自分の手首をつかんでいる哲之に目を移した。
  「釘を抜いたれ」
  磯貝の言葉には怒りがこもっていた。
  「なんで抜いたれへんねや。死んだってええやないか。この蜥蜴、死んだってけめへん、釘を抜いて欲しいと思てるのとちがうか?」
  蛙の鳴き声がぴたっとやんだ。隣の、ひとり住まいの陰気な中年女の部屋から、テレビの音が聞こえてきた。
  「蜥蜴が、自分で、死んだってええなんて考えへんよ」
  哲之は一瞬不機嫌になって、きつい目で磯貝の赤味のない顔を睨みつけた。俺はなにも趣味や道楽でキンを柱に釘づけにして飼っているではない。この釘が抜けるものなら、お前が抜いて見せろ。哲之は心の中で磯貝に言った。押入れの奥の道具箱から釘抜きを出して来ると、それを磯貝の前に突きつけ、
  「俺はよう抜かん。磯貝さん、抜いてやってくださいよ」
  と言った。哲之が怒ったことで、磯貝は自分の怒りをしずめようとするかのように、無理矢理表情をやわらげた。赤ん坊がむずかるみたいに、キンは手足をばたつかせ、身をそらせた。それを見て、哲之と磯貝は柱から離れ、やっと畳の上に坐った。磯貝はいつまでも口をつぐんで、爪を噛んでいた。
  「ビール、飲みますか?」
  立ち上がって台所に行き、冷蔵庫の中から缶ビールを出しながら哲之が訊くと、
  「俺が酒なんか飲んだら死んでしまうがな」
  磯貝は虚ろな視線を畳の目に注いだままそう呟いて、それから初めて笑みを浮かべた。「俺、小さいときから心臓が悪かったから、いつ死ぬかも判らん、五分後に死ぬかも知れんし、あしたの朝に死ぬかも知れん。そんなことばっかり考えて生きてきたんや」

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