双语阅读:【青春小说连载】春の夢(70)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
五(13)
前の世、次の世、前の世、次の世……。その言葉は、始めのうちはけし粒ほどの火であったが、次第にめらめらと噴きあがって夥しい棘みたいな火を盛んに撒き散らす炎となった。その火に勢いを与えたのは、哲之が以前見た不思議な夢であった。その夢が、果たしてしない燃料となって炎の下に横たわっていた。ほんの四十分ほどのまどろみの中で、自分が蜥蜴になって何百年間も生きては死に、生きては死んでいた夢は、哲之の閉じている目を、魔術師の手先に似た力で、柔らかく、しかし強靭な力でこじ開けた。あの夢を見たのは、確か、小堀という取立て屋があらわれて、自分の鼻と唇をなぐりつけて帰って行った夜のことだったな、と哲之は思った。そう思って、闇の中でキンの姿をさぐった。そこには一本の細く光る線があった。目に見える光が、どこかからキンの体を照らしている。そう思うと、哲之は、柱に釘づけにされて生きつづけているキンが、あえて自分につかわされた何物かの使者であるような気がしてきた。哲之は烈しい歓びを感じて、思わず声をあげそうになった。けれどもその歓喜ともいえる感情は、次の瞬間には恐怖に変わっていた。哲之は、もしかしたら、キンがつかわされたのは、次の世に自分が蜥蜴に生まれるのを教えるためではなかろうかと考えたのである。哲之は烈しい歓びを感じて、思わず声をあげそうになった。けれども、その歓喜ともいえる感情は、次の瞬間には恐怖に変わっていた。哲之は、もしかしたら、キンが使わされたのは、次の世に自分が蜥蜴に生まれるのを教えるためではなかろうかと考えたのである。大いなる何物かが、その予告のためにキンを、電灯のないアパートの狭い一室の、四寸角の柱にそっと置いたのだ。そうでなければ、こんな小さな蜥蜴が、太い釘に体を射抜かれたまま、何カ月も生きつづけている筈がない。そのうえ大いなる何物かは、蜥蜴になって何百年も生死を繰り返している夢を見させただけではなく、前世と来世の存在を信じている磯貝という男までこの部屋につれて来た。哲之はそう思った途端、身を起こし、横たわっている磯貝を見おろした。そして言った。
「もし生まれ変わるとしても、人間に生まれるとはかぎらへんでェ」
磯貝は眠りに落ちかかっていた様子で、
「どないしたんや」
と迷惑そうなくぐもった声で呟いた。哲之は、自分の見た夢を磯貝に話して聞かせた。
「そやけど、目が醒めて時計を見たら、たった四十分しかたってなかったんや」
「なんや、夢の話か……」
磯貝は寝返りをうち、哲之に背を向けた。
「蜥蜴になって、何百年も生きたり死んだりしてた俺も、目が醒めて、唇の傷を舐めてた俺も、おんなじ俺やった。なあ、不思議やと思えへんか?」
「そら、おんなじに決まってるやないか。あたりまえや」
「あたりまえやということが、俺には恐いんや」
眠りたがっている磯貝に、哲之はなおも語りかけた。
「磯貝さんは、この次も、また心臓の病気を持って生まれて来るのやないか、また両親が電車に轢かれて死ぬんやないかと思てる見たいやけど、人間に生まれへんかも知れへんでェ。その方が、もっと恐ろしいやろ?」
磯貝は返事をしなかった。自分からややこしい話を持ちかけておいて、勝手なやつだと哲之は腹が立ったが、磯貝の体のことを考えると、これ以上眠りをさまたげるのははばかられた。
「俺、あしたは早出や。八時にホテルに入らなあかん。大阪駅までの道順を教えてくれ」
磯貝が言った。哲之は道順を教えてから、自分も一緒に大阪駅まで出るつもりだからとつけ加えた。
「朝の八時に大阪駅まで出て、何をするねん」
そう言われてみれば、陽子と逢うのに、朝の八時は早過ぎると思った。
「俺、勝手に井領の部屋から出て行くから、ゆっくり寝とけよ」
やがて、磯貝の寝息が、規則正しいリズムで伝わってきた。こんどこそ、永劫に目醒めぬまま、蜥蜴になってしまいそうな気がしたのだった。
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