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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(73)

时间:2011-12-21 15:37:46  来源:可可日语  作者:dodofly

  小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

六(1)

  コインロッカーが並び、鉄道公安官の詰所と旅行代理店の出張所が隣接している暗い駅の構内のはずれに、五十台近い赤電話が設置(せっち)された場所があった。そこには冷房など施されてはいず、人がひしめき合って、それぞれ送話器に向けて言葉を発していた。哲之は、いっとき、それらの、電話をかけている人々を見ていた。目を吊り上げて叫んでいる男もいれば、コードに指をからめ、笑いながらひそやかに話し込んでいる女もいた。パンフレットに見入って、何かの商品の価格を相手に伝えているセールスマンらしき青年もいた。何度かけても話し中なのか、ダイアルを廻し終わるたびに、受話器を叩きつけて唾を吐いている労務者風の男もいた。なんと孤独な風景であろう。哲之はそう思った。ここは、巨大な駅の中で、最も騒然とした、最も孤独な場所だ。こんなところで母に電話をかけることに、哲之は不安を感じた。ポロシャツの背の部分が、汗で濡れて肌にへばりついていた。コインロッカー、何十台もの赤電話、機械をとおして他者と話している人々、真夏の熱気……。彼はそこから離れ、中央の地下道を降りて一軒の喫茶店に入った。アイスコーヒーを注文してから、店の隅にある赤電話のダイアルを廻した。そこはちょうど大きな冷房機からの冷風がまともに吹き当たる場所で、ほんのつかのまの心地よさが去ると、こんどは汗まみれの体のあちこちに鳥肌が立ってきた。
  母の声には力がなく、哲之は理由を訊くと、
  「ちょっと、夏バテや。ことしは暑いなァ」
  という返事が返って来た。
  「お前は元気か?」

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  「うん、元気やでェ。三度三度、ちゃんと食べてるし、仕事が終わったら、アパートに帰って、十分睡眠もとってる」
  「何かあったんか?」
  一呼吸おいて、母がそう言った。
  「何もあらへん」
  「何もないのに、お母ちゃんに電話をかけてくるのかいな。お前も夏バテやな」
  必ず昼の十二時に、電話をかけてよこすようにという母の言葉を守ったのは、別々に暮らし始めた最初のころだけで、哲之はそれ以後は三日か四日に一度、それも用事のあるときだけに限って、「結城(ゆうき)」に電話を入れるのである。
  「陽子さんは、ことしもデパートでアルバイトしてはるのんか?」
  「うん」
  母が口をつぐんだので、哲之も黙っていた。やがて、もう少しの辛抱だ、来年の春になったらまたお前と一緒に暮らせるようになる。母はそんな意味のことを言って電話を切った。哲之は母の口調から、陽子に関して、自分の知らないことを母は知っているのではなかろうかという気がした。
  その日は三時にホテルに入り、長島課長に、どうしても用事があって九時に帰らせてもらいたいから、その代わりにいつもより二時間早く出勤した由を伝えた。島崎は了解してくれた。哲之は磯貝の姿を捜した。ボーイの詰所で、磯貝のタイムカードをみると、早番で朝の八時に出勤した磯貝は三時ちょうどに仕事を終えていた。ロッカルームに行けば、まだ磯貝はいるかも知れないと考えて、彼は調理場とランドリーに挟まれた、夏は摂氏六十度にもなるという通路を走り抜けた。鶴田がボーイ服に着換えているところだった。
  「磯貝さん、もう帰りはりましたか?」
  「いま出て行ったことやでェ、逢えへんかったか?」
鶴田は言ってから、口笛を鳴らしながら、ブラシで丁寧に頭髪を整え、哲之に見向きもせず、ロッカルームーから出て行った。そしてすぐに戻ってきて、井領くん、と笑顔(えがお)で話しかけて来た。鶴田が哲之をくんづけで呼んだのは初めてだった。
  「さっき島崎課長から聞いたんやけど、来年からこのホテルに正式に就職すると、ほんまか?」
  「そうしたらどうかって勤めてくれてはりますけど、ぼくはまだどうするか決めてないんです」
  すると鶴田は、このホテルは就職した最初の年は給料も他の会社より二、三割多いけど、基本給の額が低いため、それ以後の昇給もボーナスも少ないこと、ホテル業界もますます過当競争になり、昨年の秋ぐらいから客が減っていること、上司に意地の悪い連中が多く、働き辛い職場であることなどをまくしたて、別の業種に就職すべきだと、いやに執拗に勤めた。
  「とにかく、ずるい給料システムになってるんや」

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