双语阅读:【青春小说连载】春の夢(83)
青春小说原文
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
七(4)
「もうこれだけ濡れたら、いまさら傘に入っても一緒ですから」
哲之は笑顔で言って、ありがとうございますと頭を下げた。男も笑顔を浮かべ、それもそうだなといった表情で哲之を追い越して行った。普通に歩けば、本町から大阪駅までは三十分程度の道のりだったが、哲之は一時間かけて国鉄の東口の近くまで来て、ちょうど夕方のラッシュ時に当たる改札口の雑踏を垣間見た。陽子が立っていた。陽子は目ざとく哲之を見つけて走って来た。
「どうしたん?川にはまったみたい」
「傘なしで、本町から歩いて来たから……」
「なんで地下鉄に乗れへんかったの?」
「雨の中を歩いてみたかったんや」
「着替えへんかったら、風邪ひいてしまうわ」
「着換えなんかあれへん」
ハンドバックからハンカチを出して、陽子は哲之の頭を拭き、顔を拭いた。幾人かの人がふたりに怪訝そうな視線を注いで通り過ぎた。
「私の家に来る?お父さんの下着とか服があるから」
哲之はかぶりを振って、
「俺が行ったら、もう陽子のお母さんまでがいやな顔をするよ」
と言った。陽子は目を伏せた。そしてすぐに何か名案を思いついたらしく、背のびして哲之の耳元に口を寄せ、
「こないだみたいなホテルに行ったらええわ。そこで服を乾かすのよ」
そう囁いて顔を赤らめた。
「いったい何を考えてるねん」
哲之は悲哀とも苦渋ともつかない思いで陽子を見つめた。
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