双语阅读:【青春小说连载】春の夢(134)
提要:阳子没有说话,脱掉上衣就到厨房开始准备午餐。哲之点燃天然气灶后,死盯着一动不动的肯。在这瞬间,他突然也没有抱有思念的想法,变成一句话,在他心中留下不可思议的明亮的灯光。
十(5)
「キンは?」
と陽子はかすれ声で訊いた。
「生きてる」
「もうあとちょっとね」
「四月の十に日に釘を抜くんや」
それは夕闇の忍び込むこの部屋で、まったく気づかぬまま、キンの背に釘を打ち込んだあくる日。春の光の中で、初めて陽子の裸体を抱いた日であった。
「なんで四月の十二日やのん?」
そう陽子に訊かれたが、哲之は答えなかった。なぜその日を選んだのか、彼は自分でもよう判らなかったのであった。
「やっぱり、きょうのお通夜には行かんとあかんやろなァ」
陽子は無言でコートを脱ぎ、台所で食事の支度(したく)を始めた。哲之は石油ストーブに火をつけ、身働きひとつしないキンに目をやった。その瞬間、突然思いも寄らぬ想念が、ひとつの言葉となって、彼の心に不思議な光彩の灯を宿した。
「俺、去年の四月十一日と十日に間に、ふたつの生き物に釘を打ち込んだ」
彼は振り返り、陽子のうしろ姿に見入った。陽子のうしろ姿は、ひどく小さく、よるべなく、そして鮮明な輪郭を帯びていた。哲之は、欲情や切ないまでの恋心を越えた、安らかな、しかしどこかに一抹の不安のちらつく深い愛情が湧いてくるを感じた。哲之はそっと陽子に近づき、彼女の腰から腹にかけて腕を巻きつけ、頬に自分のそれをすりつけた。
「お通夜に行こう。ここを六時前に出たら、ちょうどええやろ。それで沢村さんの家から出たら、あの間多喜太郎さんのホテルに泊まろう。キンの釘は抜くけど、陽子からは抜けへんぞ」
陽子は首だけ廻し、目元を赤らめて、哲之の額を包丁(ほうちょう)の柄で軽く叩いた。哲之の言葉を卑猥なものとして受け取ったらしかった。
食事がすむと、哲之は陽子に促され、パジャマに着換えた。そして陽子が敷いてくれた蒲団の中にもぐり込んだ。暮れから正月の三日間、彼は平均して一日に四時間程度しか睡眠をとっていなかったのであった。枕元に坐った陽子のスカートの奥に手を滑り込ませると、陽子は、
「またァ……」
と言ってその手を押さえつけ、
「そんなことしたら、寝られへんようになるでしょう?」
そうたしなめたが、絶対に指を変なふうに働かしたりしないからという哲之の誓(ちか)いを半信半疑な顔つきで窺(うかが)い、足の力をゆるめた。
「あの大きなお屋敷、誰の物になるのかなァ」
その陽子の言葉に応じるつもりで目を閉じたまま考えているうちに、哲之は眠った。
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