双语阅读:【青春小说连载】春の夢(142)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
十(13)
「そんなこと、言えるか」
「ずっと演技してね。お爺さんになっても。哲之が演技してくれへんようになったときは、私に飽きたってことやから」
「お爺さんになったら、もうあかんよ」
そう答えたが、哲之はふたりの生活の中で、お互いに演技なるものも必要なのだろうと考えた。ハンドバッグをあけ、沢村千代乃から郵送された現金書留の封筒を出し、陽子は何か物思いにふけっていたが、哲之のジャケットについた糸屑を取って灰皿に捨てるとこう言った。
「私も、演技してたの」
哲之は黙っていた。ふたりきりで裸になったとき、陽子もまた陽子なりに演技をしたのは不思議でも何でもないと思った。けれども、陽子は哲之の予想とは違う言葉を、区切り区切り言った。
「私、ほんとうは、沢村千代乃って人、嫌いやったの」
「なんで……?」
「ずっと前に、何かのフランス映画で、あいつは人殺し以外ならなんでもやって来た女だっていうセリフがあったのを覚えてるの。沢村のお婆さまと初めて逢うたとき、私、そのセリフを思い出したの。この人は、きっとそんな人やろなァって気がしたの。そやけどあの人は、それを何食わね顔で、それこそ演技して、一所懸命善人ぶったり、物事を超越して生きてる振りをしてはるような気がしたわ」
「へえ……。何でそんな気がしたの?」
「目と顔の働きがちぐはぐやったもん。気味が悪いくらい。何て言うたらええのかなァ。ねえ、判るでしょう?ひとりの人が、何枚ものお面をかぶって、取って換えしてる感じ。顔は変わっても目ェだけは一緒。それ、凄く気味が悪いことでしょう?」
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